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不良率はどう下げる?層別・工程能力・なぜなぜ分析で原因をたどる手順

不良率の計算式と分母の決め方から。層別・工程能力・なぜなぜ分析で原因を絞り込み、再発防止まで整理します。

テラコッタ色の背景に「不良率を下げる 層別となぜなぜで真因を追う」の文字と、中心に橙色の点を持つ虫眼鏡の図版
20品質・歩留まり

不良率を下げようとして対策会議を開いても、同じ議論を繰り返してしまうことがあります。原因が、対策の中身ではなく、その手前にあることも少なくありません。不良率の分母と手直しの扱いを固定すること、原因を1つの数字のまま終わらせず層別すること、工程能力とばらつきの関係を確認すること、真因を「なぜを5回」で掘り下げ対策を歯止めまでセットにすること、この順序を揃えないまま数字だけを追うと、打ち手を定めにくくなります。

同じ「不良率が高い」でも、特定の設備に偏っているのか、材料ロットに偏っているのか、時間帯に偏っているのかで、確認すべき相手も対策も変わります。1つの平均値だけを見ていると、どこに手を入れるべきか判断しにくくなります。

この記事では、基本的な進め方の一例として、不良率の数え方の固め方、層別の軸、工程能力の考え方、なぜなぜ分析と再発防止の型までを順に整理します。出典ページおよび本文の記載内容は2026年8月に確認したものです。

不良率は「分母」と「手直しの扱い」を決めてから数える

不良率は、生産した(または検査した)数のうち、不良と判定された数の割合を表します。式は単純です。

不良率(%)= 不良品の数 ÷ 生産数(または検査数) × 100

たとえば生産数1,000個のうち不良品が15個であれば、不良率は15÷1,000×100で1.5%です。本記事では、製品単位で不良と判定された個数の割合を不良率と呼び、分母は目的に応じて生産数か検査数のいずれかに固定します。工程の入り口で数えるのか、最終検査の数で数えるのか、出荷した数で数えるのかによって、同じ不良の発生でも数字は変わります。比較する期間や工程では、分母の取り方を1つに固定してください。

分子の扱いにも判断が要ります。規格を外れて廃棄になった分と、手直しをして最終検査を通った分を同じ扱いにすると、手直しの工数が見えなくなります。品質・歩留まりのテーマでは、歩留まりの数え方を歩留まり改善の進め方で整理しており、そこでは手直しをして最終検査を通った分を良品側に含める定義で統一しています。本記事の不良率も同じ考え方に合わせ、手直し後に最終検査を通った分は不良率の分子に含めず、手直しが発生したこと自体は別の記録として残すことにします。ただし、この不良率だけでは手直しで救済した分が見えないため、初回不合格になった数の割合(初回不合格率)と、そのうち実際に手直しを実施した割合(手直し実施割合)も分けて記録すると、工程品質の実態を確認しやすくなります。

注意:分母・分子の定義は工程ごと・製品群ごとに違っていても構いませんが、同じ表やグラフに並べる数字は同じ定義で揃えてください。定義を変更した場合は、変更した日付を残しておくと、後から数字を読み違えずに済みます。

原因の絞り込みは層別から始める

不良率が工場全体や1つの製品群で1本の折れ線になっている状態では、対策すべき対象を十分に絞り込めないことがあります。まず、工程・設備(号機)・材料ロット・時間帯・作業者など、原因の仮説に合わせた軸で数字を分け、偏りがどこにあるかを確認します。

不良率という1本の指標を、工程・設備・材料ロット・時間帯・作業者の5つの軸に分けて層別し、材料ロットの軸を重点的に確認する例を示した図
図1 1本の数字を複数の軸で層別する

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層別の軸見えてくること確認する相手
工程どの工程の後で不良が現れるか品質管理、製造の各工程
設備・号機特定の設備に発生が偏っていないか設備保全、生産技術
材料ロット特定の仕入れ・ロットに偏っていないか購買、受入検査
時間帯・交代始業直後や交代の前後に偏っていないか製造の各工程、労務管理
作業者手順に個人差が出ていないか教育担当、現場リーダー

層別した結果、複数の軸にまたがって偏りが出ることもあります。その場合は、影響の大きい軸から順に条件を1つずつ揃えて比較すると、どの組み合わせで不良が増えているかが見えやすくなります。作業者ごとに差が出た場合も、個人の責任と決めつけず、担当していた製品・設備・時間帯・教育条件などをあわせて確認してください。

工程能力で「ばらつきと中心のずれが規格に対して十分か」を見る

層別で対象を絞り込んだ後は、その工程が安定しているかどうかを確認します。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21のビジネスQ&A「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」は、工程を安定した状態に保つために上方と下方に管理限界を設ける管理図の手法を紹介しています。もっとも実際的に多用されている管理限界は、ばらつき(標準偏差)の3倍(3シグマ)を基礎とした値です(算出方法は管理図の種類等で異なります)。測定値が正規分布に従う場合、平均から±3σの範囲には理論上約99.7%が入るとされています。工程が統計的に安定していることを管理図などで確認したうえで、ばらつきの幅と中心の位置を、規格限界(顧客要求・設計仕様・社内基準等による規格値)と比較して工程能力を判断します。同解説は、抜き取り検査で得た各ロットの平均値と範囲をグラフにする「Xバー-R管理図」を代表的な手法として挙げています。

この考え方を指数にしたものが工程能力指数です。工程が統計的に安定していることを前提に、規格の幅を工程のばらつき(標準偏差の6倍)で割った値をCp(両側規格の場合)といい、値が大きいほど規格に対してばらつきが小さいことを示します。工程の中心が規格の中心からずれている場合は、工程平均から規格上限までの距離、規格下限までの距離をそれぞれ標準偏差の3倍で割り、小さいほうの値を採用するCpkで評価します。どの水準を目標にするかは製品・工程・顧客要求によって異なり、本記事で確認できた公的資料には目安となる基準値の記載がないため、具体的な数値の目安は示しません。管理図や工程能力指数を計算しなくても、日別・号機別の不良率を並べてばらつきの幅が広い日や設備を確認することは、詳しく調べる対象を絞る初期確認として今日から始められます。ただし、これは工程能力の評価そのものではありません。工程の安定性は管理図などで、規格に対する工程能力は工程能力指数などで確認するのが一般的です。

真因は「なぜを5回」で掘り下げ、対策は「歯止め」までセットにする

層別と工程能力の確認で対象を絞ったら、次は原因の掘り下げです。同じくJ-Net21のビジネスQ&A「同じような失敗を繰り返さないような方法や、その留意点を教えてください。」は、再発防止に必要な要件を2点に絞って挙げています。1点目は真因の特定で、「なぜを5回繰り返す」(5回は目安です)ことで、通り一遍の要因分析では届かない本質に迫る方法です。この掘り下げは個人よりもグループ・職場単位で行うことが望ましいとされ、複数人の知恵を重ねることで真因を探り出しやすくなるとしています。

  1. 層別で絞り込んだ対象から、影響の大きい不良の型を1つ選ぶ
  2. 「なぜ発生したか」を、現場の事実や記録で確かめながら繰り返し掘り下げる(5回は目安)
  3. 個人ではなくグループ・職場単位で行い、複数人の視点を重ねる
  4. 特定した真因に対する対策を立てる
  5. 対策が元に戻らないよう、次項の「歯止め」を設計する

2点目は歯止めです。同解説は、真因を特定して対策を打っても永続性がなければ再び不具合が発生するとし、対策を日常業務の中に織り込むことを歯止めと呼んでいます。具体的な方策として、担当者・担当部署内でのセルフチェック体制の構築とマニュアル化、および、関与部署以外による定期的な業務監査体制の2つを挙げています。重要な事項ほど、この2つを重ねて確認することが必要だとしています。

真因の特定から、重要度に応じて選択・組み合わせる歯止め(セルフチェック体制・定期的な業務監査体制)までの流れを示した図
図2 真因の特定から歯止めまでの流れ
対策は、原因への手当てに加えて、その対策が元に戻らないための歯止めを重要度に応じて設けることで、再発防止の実効性が高まります。

原価に効く数字を毎月同じ形で確認する考え方は、他の費目でも同じです。電気料金の明細を項目ごとに分解して確認する手順は再エネ賦課金と燃料費調整額。工場の電気料金明細を4つの項目で読むで整理しています。

よくある質問

不良率と歩留まりはどう違いますか。手直し品はどちらの数字に入れますか

生産(検査)した数のうち不良と判定された数の割合を見るのが不良率、投入した量に対して良品として残った量の割合を見るのが歩留まりです。本記事では、歩留まり改善の進め方と同じ定義に合わせ、手直しをして最終検査を通った分は良品として扱い、不良率の分子には含めません。ただし手直しが発生したこと自体は別の記録として残し、手直しにかかった工数や稼働時間の増加は原価側で確認します。

工程能力指数(Cp・Cpk)の目安はどのくらいですか

本記事の調査範囲では、業種を横断して使える公的な目安値は確認できませんでした。目標とする水準は製品の規格、工程のばらつき、顧客要求によって異なるためです。規格・顧客要求・品質リスク・社内基準を優先して必要な水準を定め、安定した工程から算出した自社のCp・Cpkの実績と比較して、その差を確認する進め方が現実的です。

人手が少ない工場でも「なぜなぜ分析」はできますか

個人ではなくグループ・職場単位で行うことが望ましいとされていますが、少人数の職場でも、影響の大きい不良の型から対象を1つ選び、可能な範囲で複数の関係者の視点を入れて掘り下げることはできます。掘り下げた内容と対策、歯止めの方法を記録に残すことを優先すれば、少人数の職場でも歯止めを含む基本的な考え方を再発防止の検討に活用できます。

まとめ

  • 分母(生産数か検査数か)と手直しの扱いを最初に固定し、歩留まりの記事と矛盾しない定義で運用する
  • 原因は1つの数字で終わらせず、工程・設備・材料ロット・時間帯・作業者など複数の軸で層別する
  • 工程能力は、管理図などで工程が安定していることを確認したうえで、そのばらつきの幅と中心の位置を規格限界と比較して判断し(ばらつきの幅はCp、中心のずれを含めた状態はCpkなどで確認)、目標水準は規格・顧客要求・社内基準から定める
  • 真因は個人ではなくグループ・職場単位で、現場の事実や記録を確かめながら「なぜ」を必要な範囲で繰り返す(5回は目安)
  • 対策はセルフチェック体制や関与部署以外による定期監査といった「歯止め」まで設計し、重要度に応じて組み合わせて元に戻らないようにする

品質・歩留まりに関する他の切り口は品質・歩留まりのテーマ一覧にまとめています。

  • #不良率
  • #層別
  • #工程能力
  • #なぜなぜ分析
  • #再発防止

編集確認

株式会社恒電社 編集部

製造業の電気設備・自家消費型太陽光の現場に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。

読んだあと、実行へ

品質ロスと歩留まりの改善候補を、工程別に整理します。

不良・手直し・材料ロスを切り分け、改善の優先順位を考えるための相談導線です。詳細は今後更新します。

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