実務記事 / 11

再エネ賦課金と燃料費調整額。工場の電気料金明細を4つの項目で読む

再エネ賦課金は2026年度1kWhあたり4.18円。燃料費調整額とあわせて、工場の電気料金明細を4つの項目に分け、単価の決まり方と見直せる項目を整理します。

電気料金明細を模した用紙に4本の項目行が並び、下の2行だけがオレンジの角印と縦の括弧で括られている
11エネルギー

工場の電気料金明細にある基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金〈ふかきん〉という4つの項目は、それぞれ誰がどう決めているかで読み分けてください。

基本料金は契約する電力の大きさで決まる料金、電力量料金は使った電気の量に応じて計算する料金です。燃料費調整額は、燃料費調整を採用する契約で毎月の電気料金に加減されます。再エネ賦課金は、電気の使用量に応じて全国一律の単価で負担する上乗せ分です。

kWh(キロワット時)は使った電気の量を表す単位、円/kWhはその1kWhあたりの単価です。

工場の電気料金には、使用量を減らせば負担額は下がるものの、工場側では直接変更できない単価があります。再エネ賦課金の単価は全国一律で決まります。燃料費調整を採用する契約では、調整額も契約中の算定方法に沿って毎月算出されます。

工場側で見直せるものは、次の3つです。

  • 使用電力量(電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金に効く)
  • 契約電力・契約種別(基本料金に効く)
  • 契約先・料金メニュー

削減策を並べる前にこの仕分けを済ませておくと、打ち手ごとにどの行へ影響するかを対応づけやすくなります。ここでは明細の主要な4項目について、単価を誰がどの周期で決めているかを公的な資料で確認し、毎月見る数字を3つに絞ります。制度と単価は2026年8月時点の公表資料に基づきます。

明細はまず主要な4項目に分けて読む

資源エネルギー庁の月々の電気料金の内訳によると、電気料金は次の3つの要素の合計です。

  • 契約容量で決まる基本料金
  • 使用電力量に応じて計算する電力量料金
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金

電力量料金は、燃料費が動くと、燃料費調整額を足し引きして決まります。制度の上では、燃料費調整額は電力量料金の一部です。請求書では独立した項目として出ることもあるため、読むときは4つの項目として並べたほうが、増減の理由を切り分けやすくなります。

←→ 横にスクロールできます

明細の項目単価を決めるのは誰か単価が変わる周期工場側で動かせるもの
基本料金契約している小売電気事業者(料金メニュー)契約・料金メニューの変更や料金改定契約電力、契約種別
電力量料金同上同上使用電力量、使う時間帯(時間帯別料金の契約)
燃料費調整額契約先が料金メニューの算定方法で算定毎月(燃料費調整を採用する契約)使用電力量
再エネ賦課金経済産業大臣(全国一律)毎年度使用電力量
注意:行の名称や算定方法は契約先と料金メニューによって異なり、契約によっては市場価格調整などの項目が加わります。明細の項目名や料金の算定方法は、契約先の小売電気事業者か、社内で電力契約を管理している担当に確認してください。契約電力や最大需要電力と設備運用の関係は、電気設備の管理担当(電気主任技術者や委託先)に確認します。

再エネ賦課金は全国一律・年度ごとに決まる

資源エネルギー庁のFIT・FIP制度の制度概要には、再エネ賦課金について次の3点があります。

  • 負担額は電気の使用量に比例すること
  • 単価は全国一律になるよう調整すること
  • 単価は毎年度、経済産業大臣が決めること

算定に使った見込みと実績のずれは、2年度あとの単価に持ち越して調整されます。

経済産業省が2026年3月19日に公表した2026年度の買取価格等と賦課金単価に関するニュースリリースによると、2026年度の賦課金単価は1kWhあたり4.18円です。適用の範囲は、2026年5月の検針分から2027年4月の検針分までの電気料金です。

言葉で言うと、その年度の賦課金は、明細に載っている対象の使用量に、その年度の単価をかけて求めます。式にすると次のとおりです。

その年度の賦課金(円)= 明細上の対象電力量(kWh)× その年度の賦課金単価(円/kWh)

単価は全国一律なので、契約先を変えても同じ適用期間の単価は変わりません。負担額は使う量で決まります。

単価がどう決まるかは、運営会社である恒電社のエネルギーマネジメントサイトの解説(再エネ賦課金とは?2026年度は4.18円/kWh|値上がりの理由と企業の負担額の減らし方)に詳しくまとまっています。電力を多く使う事業所向けの減免制度の要件も、同じ記事で扱っています。

燃料費調整を採用する契約では、調整額が毎月上下する

資源エネルギー庁の燃料費調整制度についての説明には、次の仕組みがあります。

  • これを採用する契約では、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の燃料価格の変動を、毎月の電気料金に反映すること
  • 燃料価格が上がれば電気料金が上がり、下がれば下がること
  • 参照するのは、為替を映した円建ての貿易統計価格であること

貿易統計価格とは、為替の動きを映した、円建ての価格の統計値です。東京電力エナジーパートナーは、特別高圧・高圧の契約者向けに燃料費調整制度・市場価格調整制度の説明を出しています。次のとおりです。

←→ 横にスクロールできます

条件調整の向き
平均燃料価格が基準燃料価格を上回る月プラス調整
平均燃料価格が基準燃料価格を下回る月マイナス調整

燃料費調整額は増えるだけの行ではありません。マイナス調整になる月もあります。

同じ説明のなかで、決め方は提供エリアによって異なるとされています。対象は離島ユニバーサルサービス調整項の有無で2エリアに分かれ、基準となる単価も別です。

←→ 横にスクロールできます

区分提供エリア
離島ユニバーサルサービス調整項を含む(離島でも本土と同じ程度の料金水準を保つための制度に伴う項目)北海道・東北・北陸・中国・九州
離島ユニバーサルサービス調整項を含まない関東・中部・関西・四国

同社は高圧・特別高圧向けの調整単価を月ごとに出しています。他社と契約しているときは、契約先の資料で確かめてください。そのうち、市場価格調整のある契約では、卸電力取引所(電力を売買する市場)のスポット市場価格の動きも毎月反映されます。

補足:東京電力エナジーパートナーは、燃料価格・市場価格が高くなるとき、両方の調整額が大きく増えることがあるとしています。
補足:上昇分の反映に上限(基準燃料価格の1.5倍)があると資源エネルギー庁が説明しているのは、大手電力の規制料金についてです。高圧・特別高圧の料金メニューは算定の諸元も上限の扱いも契約ごとの確認が要るため、契約先が公表している算定方法を読んでください。
現場より:電気設備工事の現場で工場の明細を預かると、契約先から毎月届く燃料費調整単価の通知を保管している例と、明細だけを見ている例に分かれます。請求書より先に通知が届く契約であれば、増減の向きを早めにつかむ材料になります。

単価の先行きは一方向では読めません。賦課金は年度ごとに決まり、燃料費調整額は月ごとに上下します。数年先の単価を固定した試算は避け、年度ごと・月ごとに置き直すのがお勧めです。

制度で決まる単価と、契約で変わる単価を分ける

工場が変えられないのは、次の2つです。

  • 再エネ賦課金の単価
  • 契約中の決め方から毎月決まる調整単価

使用電力量と契約電力、そして契約先・料金メニューのほうは見直せます。打ち手を挙げるときは、それがどの行に効くのかを先に決めてください。効果を確かめる場所も明細の中で決まります。

←→ 横にスクロールできます

打ち手効く行明細で確認すること
運転条件・待機・漏れを見直す電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金前年同月と使用電力量を比べる
発電した電気を自社で使う同上(明細上の電力量が減った分)明細上の電力量そのものが減っているか
契約電力・契約種別を見直す基本料金最大需要電力の実績と契約値の差
小売電気事業者を切り替える電力量料金、燃料費調整の算定方法賦課金の単価は変わらないこと
電気料金明細の主要4項目(基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金)を、単価が変わる周期と工場側で動かせるものに仕分けた図
図1 明細の主要4項目の仕分け(何が決まっていて、何を見直せるか)

契約電力の決まり方とピークの下げ方は、契約電力はどう決まる?デマンド監視装置で工場の基本料金を下げる現場手順で扱っています。力率による基本料金の増減は、力率割引で基本料金は何%変わる?進相コンデンサの点検で工場が確認したいことで扱っています。

毎月見る3項目と、確認先

まずは毎月同じ3つの数字を、同じ担当が見る状態を作ってください。金額が動いた理由を後から追えるようになります。契約に市場価格調整や力率割引のような別の変わる項目があるときは、それも同じ表に足してください。

  1. 使用電力量(kWh):生産量・稼働日数と並べる。保全と生産管理が持つ稼働の記録と突き合わせる
  2. 最大需要電力(単位はkW):契約電力や基本料金に関係する場合がある。決まり方と契約値との差は、契約資料か電気設備の管理担当に確認する
  3. 調整項目の単価(燃料費調整単価と賦課金単価):単価と使用量のどちらが増減の原因かを分ける。経理が請求書と契約先からの通知を照合する
毎月確認する3項目(使用電力量・最大需要電力・調整項目の単価)と、それぞれを確認する担当(保全・生産管理、設備の管理担当、経理)を並べた図
図2 毎月見る3項目と担当

エネルギーに関する記事はエネルギーのテーマページにまとめています。

単価の行をめぐる3つの誤解

  1. 「新電力に変えれば再エネ賦課金がなくなる」:単価は経済産業大臣が全国一律で決めるので、契約先を変えても同じ適用期間の単価は変わりません。変わるのは電力量料金の単価と、燃料費調整の決め方のほうです。電気設備工事の現場では、契約先を切り替えた工場の受変電設備工事で、契約中の小売電気事業者を電力申請の窓口とした例がありました。窓口は申請内容や契約先で変わるため、工事の前に確認します。
  2. 「燃料費調整額は増えるだけの行」:平均燃料価格が基準燃料価格を下回る月はマイナス調整になります。前年同月と比べるときは、単価と使用量の変化を分けて見ます。
  3. 「単価が上がったのだから打つ手がない」:制度で決まる単価は動かせませんが、使用電力量と契約は見直せます。使用電力量に比例する項目では、単価が高い期間ほど、同じ量を減らしたときの減少額は大きくなります。

よくある質問

2026年度の再エネ賦課金の単価はいくらですか

経済産業省が2026年3月19日に公表したニュースリリースでは、1kWhあたり4.18円とされています。適用は2026年5月の検針分から2027年4月の検針分までです。単価は全国一律で、負担額は使用した電力量に比例します。

燃料費調整額がマイナスになるのはどんなときですか

東京電力エナジーパートナーの説明では、平均燃料価格が基準燃料価格を下回るときにマイナス調整となります。基準燃料価格や計算のもとは、提供エリアや契約内容によって異なることがあります。実際にマイナス調整となる条件と単価は、契約先の決め方と月ごとに出している資料で確認してください。

再エネ賦課金はいつまで続きますか

終了時期を示す数値は、本稿で確認した経済産業省・資源エネルギー庁の出している資料には見当たりませんでした。単価は毎年度改めて決められ、見込みと実績のずれは2年度あとの単価で調整される仕組みです。

まとめ

  • 明細の主要項目は、基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の4つに分けて読む。制度の上では燃料費調整額は電力量料金の一部として算定される
  • 再エネ賦課金の単価は全国一律で、毎年度経済産業大臣が設定する。2026年度は1kWhあたり4.18円、適用は2026年5月の検針分から2027年4月の検針分まで
  • 燃料費調整を採用する契約では調整単価が毎月変わり、平均燃料価格が基準を上回ればプラス、下回ればマイナスになる。高圧・特別高圧では算定の諸元や市場価格調整の有無が契約ごとに異なる
  • 制度で決まる単価は動かせないが、使用電力量と契約電力、契約先・料金メニューは見直せる。打ち手ごとに効く行を決めてから着手する
  • 毎月見るのは使用電力量・最大需要電力・調整項目の単価の3つ。保全・生産管理、電気設備の管理担当、経理が同じ表を見る
  • #再エネ賦課金
  • #燃料費調整額
  • #電気料金明細
  • #高圧受電
編

この記事の確認方法

株式会社恒電社 編集部

製造業の電気設備・自家消費型太陽光発電の現場に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。

運営会社に相談する

電気コストの改善余地を、設備の条件から整理します。

直近12か月の電気料金明細と受変電設備の状況をもとに、最初に見るべき数字と検討の順序をご案内します。相談は無料です。

運営会社の株式会社恒電社は、高圧受変電設備の電気工事と自家消費型太陽光発電を手がける電気工事会社です。ご相談をお受けできるのは、電気設備と電気コストの領域に限られます。

恒電社に相談する