実務記事 / 91

外注先の評価表はどう作る?受入検査の記録から品質・納期を数え、取適法の7条記録と共用する

外注先の評価表は、基準をそろえ、受入検査と納期を記録し、不良率と納期遵守率を数える順で作る。取適法の対象取引では7条記録の一部と共用できる。

クリップボードのチェックリストと部品箱の横に、外注先の評価表の文字を置いた図
91調達・材料費

外注先の評価表は、点数表を作る前に、何を数えて評価するかを決めます。先に決めるのは、良し悪しを判断する基準と、その事実を記録する場所です。

外注先を「あそこは品質が良い」「あそこは遅い」と感覚で語っていると、改善してほしい点を具体的に伝えられません。手順は、検査基準と作業標準をそろえ、受入検査の結果と納期を外注先別に記録し、その記録から率を数える順です。受入検査とは、外注先から納品された品物が決めた基準に合っているかを、受け取る側が確認する作業を指します。

この記録は、取適法の対象取引では委託事業者が作成・保存する記録の一部と重なるため、その部分は評価と法令対応で共用できます。取適法(中小受託取引適正化法)は、下請法が2026年1月1日施行の改正で名称を改めた法律です。基準、記録、率の数え方、取適法との接点、進める順序の順に整理します。

評価の前に、検査基準と作業標準書をそろえる

評価表の出発点は、合否を判断する基準が外注先に渡っていることです。何が合格で何が不合格かが外注先に伝わっていなければ、不良率を数えても、どちらの責任の数字なのか分かりません。

J-Net21(中小機構)のビジネスQ&Aは、外注先の品質管理を社内の品質管理の一部と捉え、品質保証を「基準」と「事実」に基づいて構築すると説明しています。基準の例は検査基準や作業標準書、保管基準書、作業指導書です。事実の例は検査成績書、作業報告書、クレーム発生対応報告書など、記録として残るものです。出典はJ-Net21「外注先に対する品質管理指導の進め方について教えてください。」です。

検査基準とは、合否を何で判断するかを定めた文書です。作業標準書は、作業の手順や条件を定めた文書です。検査成績書は、検査で測った結果を品目やロットごとに記した書類です。ロットとは、同じ条件でまとめて作った、または納品された品物の単位を指します。

外注品の品質が悪いと、手直しによる加工費の増加、クレーム対応の交換費用や通信費、出張旅費がかかり、最悪の場合は得意先から取引を止められるおそれがあると、同じQ&Aは述べています。外注先の評価は、こうした損失を事前に減らすための記録です。

基準、記録、数える、共有の4つを矢印でつないで循環させた図
図1 基準、記録、数える、共有の順に回す。

同じQ&Aが示す手順は次の流れです。

  1. 外注先チェックリストで、品質管理が有効に働いているかの実態を調べる。
  2. 実態から課題を洗い出す。
  3. 基準が無ければ、作成を指導する。
  4. 基準が守られているかを検証できるよう、事実の記録を指導する。
  5. これを繰り返して、自主的な品質保証体制を作る。

評価も同じ順で進めます。基準が無い、または外注先に渡っていない場合は、評価より先に作って渡します。合否の境目が言葉で伝えにくい外観不良などは、限度見本の作り方の記事にある限度見本で共有できます。

受入検査の結果と納期を、外注先別に記録する

評価に使うのは、受け入れた日ごとに残した事実です。口頭の印象は後から確かめられません。記録は、外注先別・品目別に、受け取った日の記録として残します。

記録する項目は次の6つです。これは記事の整理で、公的な様式ではありません。

  1. 日付と品目:納品(受領)日、検査を完了した日、何を受け入れたか。
  2. 数量:ロット数または個数。どちらで数えるかを決めて固定する。
  3. 合否:検査の結果。
  4. 不合格品の取扱い:返品、手直し、選別など、どう扱ったか。
  5. 納期の遅れ:期日どおりか、遅れた場合は何日遅れか。
  6. 遅延の理由:外注先の都合か、発注側の計画変更や設計変更か。

遅延の理由を分けるのは、発注側の変更で遅れた分を外注先の評価に入れないためです。理由が空欄だと、後で集計するときに分けられません。発注側の計画変更や設計変更が原因の遅延は、外注先の遅延とは別の列で数えます。

記録は、事実が生じたときに速やかに残します。月末にまとめて思い出して書くと、不合格品の取扱いや遅延の理由が抜けやすくなります。担当者が替わっても同じ記録が残るよう、様式は一つに決めます。受入検査の担当者が書ける簡単な様式にして、購買担当が外注先別に集めます。様式が複雑だと現場が書かなくなるため、最初は上の6項目から始めます。

記録から数えるもの、確認して書くもの

評価表の項目は、記録から数えるものと、確認して書くものに分けます。ここからは記事の整理です。

数えるものは4つあります。受入不良率、納期遵守率、やり直し・手直しの件数、得意先からの苦情につながった件数です。確認して書くものは、検査基準と作業標準の有無、検査成績書の提出状況、不良が出たときの対策書の提出と再発の有無です。前者は割り算や件数で比べられ、後者は有る・無いと経過を文章で残します。

不良が出たときに外注先へ求める書類は、不具合対策書の書き方の記事で整理しています。対策書が出ているか、同じ不良が再発していないかは、評価表の「確認して書く」欄で追えます。

数える2つの率の式は、次のとおりです。ロット単位か個数単位かは、記録の段階で決めた単位に合わせます。

受入不良率(%)= 不合格になった数 ÷ 受け入れた数 × 100
納期遵守率(%)= 期日どおりに納入された件数 ÷ 納入件数 × 100

6か月分の記録で、3社を数えて比べる

架空の3社の記録を6か月分数えると、外注先ごとに直したい点が違うことが分かります。次の数字は記事の例で、実在の外注先のものではありません。

←→ 横にスクロールできます

外注先受入ロット(不合格)納入件数(遅延)不良率/遵守率
A社120(2)120(3)1.7%/97.5%
B社80(4)80(1)5.0%/98.8%
C社40(0)40(4)0.0%/90.0%

A社の受入不良率は2÷120で1.7%、納期遵守率は117÷120で97.5%です。B社は4÷80で5.0%、79÷80で98.8%、C社は0÷40で0.0%、36÷40で90.0%です。

外注先別の受入不良率(%)

6か月分の記録から数えた例

出典:記事の例(架空の3社・6か月)

受入不良率
外注先別の受入不良率(%)受入不良率:A社 1.7 %、B社 5 %、C社 0 %受入不良率、A社:1.7 %受入不良率、B社:5 %B社が最も高い受入不良率、C社:0 %
データを表で見る

←→ 横にスクロールできます

外注先別の受入不良率(%)と納期遵守率(%)
外注先受入不良率(%)納期遵守率(%)
A社1.797.5
B社5.098.8
C社0.090.0

受入不良率が最も高いのはB社の5.0%で、納期遵守率はB社が最も高い98.8%です。B社には品質、C社には納期、というように、改善してほしい項目が外注先ごとに分かれます。

数字の読み方は、母数と項目ごとの並びで決まる

率は、母数が違うものを同じ重みで比べられません。C社は不合格が0件ですが、受入ロットは40と少なく、A社の120やB社の80とは数えた量が違います。0.0%という数字だけでC社の品質が最も良いとは言えず、母数が増えたときも0件が続くかを次の期間で見ます。

点数を合計して1つにまとめる前に、項目ごとに並べるのが原則です。B社は不良率が高く遅延は少なく、C社は逆です。合計点にすると、この違いが消えてしまいます。たとえばB社に「不良率を下げる対策を」、C社に「納期の遅れの原因を」と、外注先ごとに別の依頼ができます。評価表は順位をつけるより、何を直してほしいかを外注先と話す材料にします。

点数や重み、合格点の公的な基準は確認できませんでした。自社で配点を決める場合は、一例として扱い、基準を変えたら変更日を記録に残します。

受入検査の記録は、取適法の記録にも使える

取適法の対象取引では、受入検査の記録を外注先別に残すと、評価の元データと、7条記録のうち該当する事項を一度で兼ねられます。取適法の対象になるかどうか(資本金や従業員数の区分、取引の種類)は、ここでは扱いません。取適法の受領拒否の記事と、公正取引委員会・中小企業庁の中小受託取引適正化法テキスト(令和7年11月)で確認してください。

取適法テキストでは、委託事業者は製造委託等をした場合、記録事項を記載した書類または電磁的記録を作成し、2年間保存しなければならないとされています。この義務に基づく記録が7条記録です。受入検査に関連する記録事項には、受領した給付の内容と受領した日、検査をした場合は検査を完了した日、検査の結果、検査に合格しなかった給付の取扱い、変更又はやり直しをさせた場合はその内容と理由があります。

記録は中小受託事業者別に残します。発注時に書面等で示す事項(4条明示)では検査完了の予定期日を示し、7条記録では実際の検査完了日と結果を残す、という違いがあります。

受入検査の記録から、外注先の評価と取適法の7条記録の両方に使う項目が分かれる図
図2 受入検査の記録を、評価と7条記録の両方に使う。

電磁的記録で残す場合の要件は、訂正・削除の事実と内容が確認できること、画面表示や書面出力ができること、事業者名や発注日で検索できることです(取適法テキスト)。表計算ソフトで管理するときは、上書きの履歴が残るかを確認します。

評価のために基準を後から厳しくすることは避けます。取適法テキストは、発注後に検査基準を恣意的に厳しくし、従来の基準で合格とされたものを不合格とする場合を、受領拒否・返品が認められない場合に挙げています。基準を変えるときは、発注前に外注先と合わせて書面等に残します。

検査を省略している場合も注意が必要です。同じテキストは、給付に係る検査を省略する場合を、返品が認められない場合に挙げています。検査結果を記録する習慣は、この点の確認にもなります。

質問106では、受入検査で不良品とされたものは、受領後速やかな返品に限られます。一旦合格品として扱ったもののうち直ちに発見できない不適合は、受領後6か月以内なら返品できます。一般消費者に6か月を超える保証期間を定めている場合は、それに合わせて最長1年です。出典は公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」です。

評価表を進める順序

最初から全外注先を対象にせず、取引の多い外注先と品目に絞って始めます。進める順序は次のとおりです(記事の整理)。

  1. 対象を決める:外注先と品目を絞る。
  2. 基準を確認する:検査基準、限度見本、作業標準が渡っているか見る。無ければ先に作る。
  3. 記録する:日付、品目、数量、合否、不合格の取扱い、遅延理由を外注先別に残す。
  4. 数える:3か月または6か月で率を出す。
  5. 共有する:外注先と結果を見て、改善してほしい項目を1〜2つに絞る。
  6. 次の期間を同じ方法で数える:前の期間と比べる。

聞く相手は、基準と検査の実態は品質保証・受入検査の担当、納期と遅延理由は購買担当です。取適法の確認は、社内の法務担当か、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口が相談先です。価格の比べ方は評価表とは別の話で、相見積もりの取り方の記事にまとめています。購買の他の記事は調達・材料費の記事一覧が入口です。

注意:評価項目、計算例、記録の項目、進める順序は、整理と架空の例で、公的な基準ではありません。受入検査の記録を共用できるのは7条記録のうち該当する事項で、ほかの記録事項も必要です。記録を別の書類に分ける場合は、相互の関係を明らかにします。取適法の対象範囲の判断や、個別の取引への当てはめは、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口や社内の法務担当に確認してください。

よくある質問

小さな外注先にも評価表は要りますか

取引が少ない外注先でも、受入検査の結果と納期の記録は残します。母数が小さいうちは率で比べず、不合格の内容と遅延の理由をそのまま見ます。率で数えるのは件数が増えてからです。

評価の結果を外注先に見せてよいですか

共有する前提で作るものです。項目ごとの数字を見せ、改善してほしい項目を1〜2つに絞って話すと、次の期間の変化を同じ方法で数えられます。基準を変える場合は、結果の共有とは別に、発注前に合わせて書面等に残すのが原則です。

取適法の対象でない取引でも記録は要りますか

評価のための記録は、法令上の義務とは別に必要です。受入検査の日付、結果、不合格品の取扱いを外注先別に残す方法は、対象かどうかにかかわらず同じです。対象になるかの判断は、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口に確認します。

まとめ

  • 評価表は、基準をそろえ、記録し、数える順で作ります。
  • 数えるのは受入不良率、納期遵守率、やり直し・手直しの件数、苦情につながった件数です。
  • 母数の違う率を同じ重みで比べず、点数を1つにまとめる前に項目ごとに並べます。
  • 受入検査の検査完了日・結果・不合格品の取扱いは、取適法の対象取引では7条記録の一部の事項と重なります。
  • 評価のために基準を後から厳しくせず、変えるときは発注前に外注先と合わせて書面等に残します。
  • #外注先評価
  • #評価表
  • #受入検査
  • #取適法
  • #外注管理
編

この記事の確認方法

株式会社恒電社 編集部

法令・告示・公的統計・白書など、国や行政が公表している原典にあたり、出典・前提条件・数字の扱いを編集部で確認しています。

続けて読む

ほかの課題テーマも、あわせて確認する。

調達・材料費の改善は、購買・設計・製造の社内連携で進める領域です。本メディアは判断材料の提供に徹します。

本メディアは電気設備工事会社の株式会社恒電社が運営していますが、このテーマの記事は特定の商品やサービスを前提とせず、国や行政が公表している資料をもとに編集しています。 編集方針を見る

他の課題テーマを見る