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棚番とは?置き場に住所を付ける4階層の組み立て方と、通路を先に決める採番の順序

棚番とは置き場に付けた住所です。エリア・列・連・段の4階層で組み立てる手順、桁数の揃え方、通路と積み方の制約から先に決める順序を整理します。

棚番の記事のサムネイル。上半分に「棚番の付け方」、下半分の濃い帯に棚の正面図が描かれ、1区画だけがオレンジで塗られている。帯の右に「置き場に住所を付ける」と記されている
59在庫・物流

棚番(たなばん)とは、資材や製品を置く場所ひとつひとつに付けた番号のことです。ロケーション番号とも呼びます。棚の1段にも、パレット1枚分の平置きスペースにも振れます。役割は住所と同じで、どこにあるかを人とシステムが同じ言葉で言えるようにします。

自社に棚番が要るかどうかは、探す時間で分かります。新人が部品を探すのに先輩を呼ぶなら、置き場の情報は表示ではなく人の記憶に載っています。棚卸しのたびに数え漏れが出る現場も同じです。

順序を先に言います。棚番は通路と積み方の制約を確定させてから振るものです。そのうえでエリア・列・連・段の4階層に分け、桁数を全区画で揃えます。逆順にすると、番号を振り直す作業が後から発生します。

棚番は「置き場の住所」で、モノの名前ではない

棚番が指すのは場所であって、そこに置く品目ではありません。ここを混ぜると運用が壊れます。品番を棚番に埋め込むと、品目が変わるたびに番号を作り直すことになるからです。

場所に番号を振っておけば、中身が入れ替わっても番号は生き続けます。棚番は置き場の地図、品番は荷物の名前、在庫データはその2つを結ぶ台帳です。

工場では、この地図が抜けたまま運用している置き場が残りやすくなります。原材料の倉庫は整っていても、仕掛品の仮置き場、副資材の棚、治具や金型の置き場は「だいたいこの辺」のままです。探す時間と棚卸差異は、そうした区画で起きやすくなります。棚卸差異の切り分け方は棚卸差異の原因はどこにある?数え方・タイミング・記録・モノの動きで切り分ける手順で整理しています。

番号より先に決まるもの——通路と積み方の制約

区画の切り方は、法令で先に枠が決まります。番号を振ってから通路を削ると、その番号は使えません。

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。工場の設備や作業の安全について守ることを定めた省令です)の第540条は、作業場に通ずる場所と作業場内に安全な通路を設け、常時有効に保持することを事業者に求めています。同条第2項は、主要な通路について「通路であることを示す表示をしなければならない」と定めています。この条文が定めているのは通路の確保と表示であって、採番の順序ではありません。

通路そのものの条件はe-Gov法令検索・労働安全衛生規則の第542条にあります。屋内に設ける通路について、次の3つが定められています。

  • 用途に応じた幅を有すること
  • 通路面は、つまずき、すべり、踏抜等の危険のない状態に保持すること
  • 通路面から高さ1.8メートル以内に障害物を置かないこと

3つ目が区画の設計に直接効きます。通路面から1.8メートル以内は障害物を置けないので、通路側にはみ出す保管を棚番で追認できません。はみ出している区画があるなら、番号を振る前に棚の奥行きか通路の位置を直します。

幅の実数は第543条にあります。機械間、または機械と他の設備との間に設ける通路は、幅80センチメートル以上です。機械の脇の空きスペースに棚を足す計画では、この数字が先に効きます。

ただし、この80センチメートルを「棚と棚の間の通路幅」として引くのは誤りです。第543条が対象にしているのは、機械間または機械と他の設備との間の通路です。棚の間については、第542条一号の「用途に応じた幅」が働きます。棚間の幅の数値は、この記事で引いた条文だけでは決まりません。

平置きの区画には別の制約がかかります。同規則が「はい」と呼ぶのは、倉庫などに積み重ねられた荷の集団です。ばら物の荷は含みません。

第427条は、はいの上で作業する場合に作業箇所の高さが床面から1.5メートルを超えるときは、安全に昇降するための設備を設けるよう定めています。第430条が定めるのは、はいとはいの間隔です。床面からの高さが2メートル以上のはい(容器が袋、かます、俵である荷に限る)は、隣のはいとの間隔を下端で10センチメートル以上とします。

荷姿と高さによっては、区画の境界に最初から隙間が要ります。図面を引く前に、置く荷がこの条件に当たるかを確かめます。

ここまでの条文は通路と「はい」の条件を決めるもので、採番の順序までは定めていません。通路と保管区画を先に確定してから採番する順序は、これらの規定を踏まえた本記事の提案です。

注意:ここで挙げた条文は、作業場と屋内の通路、および「はい」に適用される規定です。置き場の形態や扱う荷によって、当たる規定は変わります。指定数量以上の危険物を屋内で貯蔵する場合は、標識と掲示板の様式が消防法令で決まっています。危険物の規制に関する規則第17条は、標識を幅0.3メートル以上・長さ0.6メートル以上の板とし、地を白色・文字を黒色とすることを定めています。自社の置き場にどの規定が当たるかは、安全管理者と所轄の消防署・労働基準監督署へ確認してください。

棚番は4つの階層で組み立てる

制約が確定したら、番号の形を決めます。使うのはエリア・列・連・段の4階層です。大きい単位から小さい単位へ、外から内へ並べます。

棚番A-03-2-4を4つの階層に分解した図。Aがエリア、03が列、2が連、4が段を指すことを、置き場を上から見た図と棚の正面図で示している
図1 棚番は大きい単位から小さい単位へ並べる

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階層指すもの表記の例
エリア置き場の区域。建屋・部屋・ゾーンの単位A、B、C
通路に沿って並ぶラックの並び01〜99
列の中で、支柱に挟まれた棚1区画に付ける順番1〜9
連の中の上下の位置。下から数える1〜6

「連」は聞き慣れない語かもしれません。棚を横につないだとき、支柱に挟まれた1区画を連と数えます。段の中をさらに左右に区切る場合は、段を残したうえで区画番号を足します。区切りが細かいほど場所は特定しやすく、そのぶん表示と登録の手間は増えます。

間口の幅は、載せるパレットの寸法から逆算します。目安になるのが、国の標準仕様パレットです。国土交通省のパレット標準化の取組状況について(2024年11月5日)に、その概要が載っています。平面サイズは1,100ミリメートル角、最大積載質量は1トンです。推奨する規格であって義務ではありません。

組み立てた例が「A-03-2-4」です。Aエリアの3列目、2連目、4段目を指します。この4階層はラックの採番例で、平置きなどでは不要な階層を省き、段内を分ける場合は区画番号を追加します。

桁数は全区画で固定する

設計でいちばん効くのは桁数です。列が10本以上になる見込みがあるなら、最初から2桁で振ります。1桁で始めて後から10本目が増えると、並べ替えの順序が崩れます。

棚番を文字列として並べ替えると、1、10、2、3の順に並びます。ゼロ埋めした01、02、03、10なら順番どおりです。ピッキングの順路をこの並びに合わせている現場では、ここが崩れると歩く順番まで変わります。実際の並び方は、使うソフトやシステムで確かめます。

区切り記号も統一します。ハイフンか、区切りなしの連結か、どちらかに決めます。現場の表示、在庫システム、帳票の3つで同じ形にしておくと、照合のときに変換が要りません。

どの段に何を置くかを先に決める

段に番号を振る作業と、その段に何を置くかを決める作業は別ものです。後者には国が示した目安があります。

厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針(平成25年6月18日 基発0618第1号)には、人力で扱う重量の目安があります。満18歳以上の男性が人力のみで取り扱う物の重量は、体重のおおむね40パーセント以下となるよう努めること。満18歳以上の女性が取り扱える重量は、さらにその60パーセント程度までとされています。これらは指針が示す重量の目安です。

同じ指針は置き方にも触れています。倉庫等では、搬出入が頻繁な荷物を戸口に近いところや、運搬する際に抱えるのと同じ高さに配置すること。はい付けやはいくずしの作業では、できるだけ荷を肩より上で取り扱わないこと。この2つです。

段番号は下から1、2、3と振り、全区画で向きを揃えます。どの段に何を置くかは、荷の重さ、出庫の頻度、棚の許容荷重、使う荷役機器を踏まえて決めます。人力で扱うときのかがみ込みと、肩より上での取り扱いを避けられる配置にします。

固定ロケーションとフリーロケーションを選び分ける

棚番の運用は大きく2つに分かれます。固定ロケーションは、品目ごとに置き場所を決めて動かさない方式です。フリーロケーションは、空いている場所に置いて、置いた場所をその都度データに記録する方式です。

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方式向く条件前提になるもの
固定ロケーション品目数が安定・回転が読める品目ごとの置き場を決める作業
フリーロケーション品目数が多い・出入りが読みにくい品目・数量・場所の対応を都度更新する仕組み

どちらの方式でも、入出庫と構内の移動を記録する必要があります。フリーロケーションでは、場所の更新が抜けると所在が分からなくなります。記録を続けられる仕組みがあるかどうかで、方式を選びます

両方を混ぜる手もあります。よく使う品目は固定、季節品や仕掛品の仮置きはフリーにして、エリア記号で分けます。どの区画がどちらの方式かを、棚番の先頭1文字で読めるようにしておくと迷いません。

出庫の頻度は、手前の取りやすい区画に置く品目を選ぶ判断材料になります。品目を金額と停止影響で分類する考え方はABC分析で在庫管理を仕分ける。金額と停止影響で見る分類基準と棚卸しの実務で扱っています。

現場に貼るまでの5手順

設計を決めたら、貼って登録するところまでが一続きの作業です。順番を飛ばすと、番号と現物がずれた状態で運用が始まります。

棚番を現場に貼るまでの5手順を左から右へ並べた図。測る、区画を割る、採番する、表示する、登録して照合する、の5段階を矢印でつなぎ、最後の照合から測るへ戻る点検の矢印を添えている
図2 棚番を運用に乗せるまでの5手順
  1. 測る:置き場の実寸、通路の幅、棚の連数と段数を図面に起こします。図面が古い工場では、実測が先です
  2. 区画を割る:通路の位置を確定してから、エリアの境界を引きます。ここで法令上の制約を反映します
  3. 採番する:エリア記号、列、連、段の桁数を決めて、空き区画も含めて全区画に番号を振ります
  4. 表示する:ラベルを貼ります。棚の段ごとの表示に加えて、列の端に大きな表示を付けると遠くから見えます
  5. 登録して照合する:在庫データに棚番を入れ、現物と1区画ずつ突き合わせます

5番目は省かれやすい工程です。ラベルを貼った時点で、作業が終わったように見えるからです。データに入っている棚番と、現物が置いてある棚番が一致して初めて棚番は使えます。照合が済むまでは、棚番は貼ってあるだけの番号です。初回の照合は、全区画を2人1組で回ると抜けが減ります。

表示は「読める大きさ」で決める

ラベルの文字サイズの基準は、通路の反対側から読めるかどうかです。明るさにも基準があります。労働安全衛生規則の第604条は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、精密な作業は300ルクス以上、普通の作業は150ルクス以上、粗な作業は70ルクス以上と定めています。暗い区画では、ラベルの文字を大きくするより先に照明を見直します。

貼る位置も揃えます。段の左端か中央か、統一するのはどちらでもかまいません。同じ位置に貼ってあれば、探す視線が一定になります。床の平置き区画は、床に貼るテープと柱の表示の両方に同じ番号を入れておくと、パレットが載っていても番号が読めます。なお第604条の照度は作業面に対する基準なので、ラベルの読みやすさは実際に見る位置から別に確かめます。

振り直しになりやすい3つの失敗

棚番の付け直しは、表示の貼り替えだけでは終わりません。在庫データ、帳票、作業手順書、ピッキングの順路がすべて連動します。先に避けられる失敗を挙げます。

  • 品番や品名を棚番に埋め込む:置く品目が変わるたびに番号が意味を失います
  • 桁数を区画ごとに変える:並べ替えの順序が崩れ、順路と帳票の並びが合わなくなります
  • 空き区画に番号を振らない:未採番の区画を使い始める際に、採番・表示・登録の作業が発生します

3つ目は見落とされやすいところです。いま物が置かれていない場所にも、先に番号を振っておきます。増設への備えはこれとは別の話になります。列を足す予定があるなら、列番号を1本分空けて採番しておく手があります。

もうひとつ、運用に入ってから効く点があります。棚番を変えたときに、誰が何を直すかを決めておくことです。現場の表示、在庫システム、帳票、手順書の4つを1枚のリストにして、変更のたびに同じ順で潰します。置き場と運搬経路の見直し全体は運搬のムダを減らす。動線分析の手順から置き場ルール、回数を減らす4つの手までで扱っています。在庫の論点は在庫・物流テーマの記事一覧にまとめています。

補足:ここで引いた条文だけで通路幅の適否は決まりません。第543条の対象では80センチメートル以上に加えて、用途に応じた幅が要ります。実際の幅は、荷を含めた通行寸法や旋回、人との接触防止を確認して決めてください。腰痛予防対策指針が示す割合は法令上の重量制限を置き換えるものではなく、女性や年少者に適用される別の制限も確認が要ります。パレットの標準仕様は、実際の入荷寸法や棚の許容荷重を保証しません。危険物は、指定数量未満であっても市町村の火災予防条例の対象になります。

よくある質問

棚番は何桁くらいが適切ですか

区画数から逆算します。列が20本、1列あたり5連、1連6段なら、数字部分は列2桁・連1桁・段1桁の4桁で足ります。これにエリア記号と区切り記号が付きます。将来の増設を見込んで1桁足す判断もありますが、桁が増えるほど読み上げと入力の誤りは増えます。いまの区画数で必要な桁に、増設予定分だけを足すのが無難です。

棚番を付けると棚卸しは速くなりますか

棚番は探す時間と区画の識別を助けます。棚番順に並べたリストで回れば、どこまで数えたかも追えます。ただし、二重に数えることを防ぐには、計数済み区画の管理と、棚卸中の移動の管理も要ります。棚番と現物のずれが残っていれば、差異の調査に時間がかかります。

区画ごとに日を分けて数える方式では、数えた日から期末までの増減を反映する必要があります。法人税基本通達5-4-1は、事業年度末の実地棚卸しに代えて部分計画棚卸しその他合理的な方法で在高等を算定する場合、継続適用を条件にこれを認めるとしています。棚番そのものが通達上の要件というわけではありません。採用の可否は顧問税理士へ確認してください。

エクセルだけで運用できますか

表計算ソフトでも運用はできます。棚番の列を1つ作り、品番と数量を並べる形です。向き不向きは品目数だけでは決まりません。入出庫と移動の頻度、入力する人数、ロットや期限など必要な管理項目で変わります。方式を決める前に、記録を誰がいつ入力するかを先に決めてください。

まとめ

  • 棚番は置き場に付けた住所で、品目の名前とは別に管理します
  • 通路の幅と積み方の制約を確定させてから、区画を割って番号を振ります
  • エリア・列・連・段の4階層で組み立て、桁数は全区画で固定します
  • 固定とフリーは、記録を続けられる仕組みに合わせて選びます
  • ラベルを貼って終わりにせず、データと現物の照合まで済ませます
  • #棚番
  • #ロケーション管理
  • #在庫管理
  • #労働安全衛生規則
  • #棚卸し

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