OJTは、指導者から実際の仕事を通じて技能を学ぶ訓練です。助成金を検討するなら、教える相手と目的、座学などを含む訓練計画、開始前の手続きを先に確認します。日常の作業指導を続けるだけで受給できる制度ではありません。
人材開発支援助成金の人材育成支援コースでは、OJT単独は対象外です。通常の生産活動から離れて学ぶOFF-JTを組み合わせ、対象者や訓練の要件を満たす必要があります。2026年9月6日時点の公式資料に基づき、工場で計画を立てる前の確認順序を整理します。
最初に分けるのは「誰に、何を身につけてもらうか」
雇用形態や年齢、訓練後の仕事によって、検討する訓練類型が変わります。先に助成額を比べると、対象外の計画を作ってしまいます。入口は対象者です。
厚生労働省の人材育成支援コース支給要領(2026年8月3日)は、次の4類型を定めています。表は、訓練の方向を人事担当と相談するための整理です。対象者や時間数などの全要件を満たすかは、類型を絞った後に確認します。
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| 訓練類型 | 検討する方向 | OJTの扱い |
|---|---|---|
| 人材育成訓練 | 職務に必要な知識・技能を学ぶ | OFF-JTを対象とする |
| 認定実習併用職業訓練 | 大臣認定を受けた実習と座学を組む | OFF-JTと組み合わせる |
| 有期実習型訓練 | 非正規雇用労働者の正規雇用等への転換を目指す | OFF-JTと組み合わせる |
| 中高年齢者実習型訓練 | 対象となる中高年の労働者に実習と座学を組む | OFF-JTと組み合わせる |
中高年齢者実習型訓練は、2026年度に新設された類型です。厚生労働省の新設案内(2026年4月8日)では、訓練開始日に45歳以上の雇用保険の被保険者を対象にしています。年齢だけで決まるものではなく、訓練の必要性の確認や期間・時間数などの条件もあります。
この案内には、食品加工工場の主任が管理部門の業務を学ぶ活用例が載っています。製造計画や進捗管理の実習と、品質管理などの座学を組み合わせる内容です。これは行政が示した活用例であり、特定企業の受給実績や効果の証明として読むものではありません。
自社では、現在の仕事と訓練後に任せたい仕事を一つずつ書き出します。配置転換なら、変わる作業を具体化してください。人事担当には、その内容と雇用形態、開始時の年齢を渡すと、候補となる類型を相談しやすくなります。
工場内でも、実習と座学を分けて計画する
OJTとOFF-JTは、社内か社外かだけで分けません。通常の生産活動の中で実務を通じて学ぶのか、その活動から区別して学ぶのかが違いです。会場の住所だけでは判断できません。
厚生労働省の人材育成支援コース詳細パンフレット(2026年8月3日版、31・40ページ)は、両者の区分を説明しています。社内の会議室で行う訓練でも、通常業務から切り離していればOFF-JTとして検討する余地があります。講師や内容、実施方法にも要件があるため、会議室を確保しただけでは足りません。
例えば、検査担当者に測定の技能を教える計画を考えます。実務で指導者と測定する時間と、生産から離れて測定の原理を学ぶ時間は、別の欄に書くと整理できます。これは区分を考えるための仮定例であり、そのまま助成対象になることを示す例ではありません。

教育担当者には、教える内容、指導者、予定時間、実施場所を並べてもらいます。生産計画と重なる時間も確認対象です。訓練中に別の作業を任せる予定があるなら、計画上の時間をそのまま訓練実績にできるか、開始前に管轄労働局へ確認してください。
技能をどう分けて教えるかが未整理なら、先に多能工化のスキルマップとOJTの組み立て方を確認すると、教育項目を整理できます。助成金の要件確認と、現場で使う教育計画はつなげて考えます。金額から訓練内容を逆算せず、必要な技能を先に決めることが出発点です。
開始日は、計画届の期限から逆算する
計画届の提出は原則として、訓練開始日の6か月前から1か月前までです。詳細パンフレット47ページに提出期間が示されています。始めてから書類をそろえる順序にはしません。
同ページは、新たに雇い入れた労働者のみを対象にする一定の訓練などについて、条件付きの例外も定めています。例外を使うには理由を記した書面が必要です。日程が迫っている場合は、自社の雇入れ日と訓練開始日を伝えて、適用の可否を管轄労働局に確認します。
認定実習併用職業訓練では、大臣認定の申請も別に必要です。詳細パンフレット46ページは、認定申請を開始日の30日前までに提出するよう示しています。「1か月前」と「30日前」は同じ期限としてまとめず、それぞれの手続きを予定表に置いてください。
郵送は労働局に到達した日が提出日です。消印の日ではありません。教育担当だけで開始日を確定せず、人事担当と提出方法、必要書類、認定手続きの有無を確認してから、生産計画に訓練時間を組み込みます。
実施日誌と指導者の勤怠を、初日から残せるようにする
OJTは、実施内容を後から確認できる体制まで含めて準備します。詳細パンフレット40ページは、対象労働者による実施日ごとの日誌と、指導者の出退勤時刻の確認を求めています。記録も訓練の準備です。
日誌は「OJT実施状況報告書(OJT訓練日誌)」という所定の様式です。指導者が月末にまとめて代筆する運用にはしません。対象労働者が実施日ごとに作成できるよう、記入する場所と確認する担当者を決めておきます。
指導者の訓練当日の出退勤時刻を確認できなければ、OJTを実施したと認められないとされています。役員が教える計画でも、記録の確認は必要です。人事担当には、対象者だけでなく指導者についても勤怠の確認方法を聞いてください。
終了後には、ジョブ・カードの所定シートで職業能力を評価します。ジョブ・カードは、ここでは訓練の成果を記録するための様式を指します。教えた作業と評価する技能がつながるよう、終了時に確認する内容を開始前から教育担当者と相談しておきます。
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| 準備する情報 | 工場側でそろえるもの | 相談する相手 |
|---|---|---|
| 対象者と目的 | 現在の作業・習得する技能・開始予定日 | 人事担当 |
| 訓練の区分 | 実習と座学の内容・時間・場所 | 教育担当、人事担当 |
| 実施記録 | 日誌の記入方法・指導者の勤怠確認 | 本人、指導者、人事担当 |
| 終了後の評価 | 評価する技能と所定様式の確認 | 教育担当、人事担当 |
表は、公式の申請書類一覧ではなく、工場側の準備を分担するための整理です。受給額を見積もる前に、各欄に具体的な情報を置けるか確認します。人材育成や定着を含む他の課題は、採用・人材のテーマページから確認できます。
よくある質問
先輩が新人に仕事を教えれば、助成金の対象になりますか?
人材育成支援コースでは、OJT単独は対象外です。対象となる訓練類型を選び、OFF-JTとの組合せや事前の手続きなどの要件を確認します。普段の指導を日誌に書くだけで受給できる、という理解は避けてください。
工場内の会議室で教える時間もOJTですか?
場所だけでは決まりません。通常の生産活動から区別した訓練なら、社内でもOFF-JTとして検討する余地があります。講師や内容などの要件と合わせて確認します。
教育に使った時間が、そのまま費用削減になりますか?
教育時間の記録と、費用削減の確認は別です。助成の支給要件とは分けて、習得した技能がどの作業に使われたかを確認します。人手不足への対応を採用・定着・作業見直しに分けて考えるときは、工場の人手不足対策の整理が参考になります。
まとめ
- 対象者と訓練後の仕事から、人材育成支援コースの類型を確認する。
- OJTとOFF-JTを、通常の生産活動との関係で分ける。
- 計画届と必要な認定申請は、開始前の別手続きとして予定に置く。
- 初日から日誌と勤怠を残し、終了後の評価まで準備する。
この記事の確認方法
株式会社恒電社 編集部
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