技能実習は、日本の企業で働きながら技能を身につけ、母国に持ち帰ってもらう制度です。平成5年(1993年)に始まり、令和7年末には約46万人が在留しています。在留資格は第1号・第2号・第3号に分かれ、各号に「イ」と「ロ」があります。受け入れを考える工場は、期間と移行の条件を分けて確認します。
号によって違うのは、法律上の目的、在留できる期間、目標となる試験です。第1号は1年以内、第2号と第3号はそれぞれ2年以内で、合計は最長5年です。「イ」「ロ」は期間の違いではなく、受け入れる主体の違いです。
この記事では、各号の期間と試験、イ・ロの受け入れ方、次の号へ進む条件、人数枠を説明します。最後に、2027年4月からの育成就労制度への移行も確認します。
各号の期間と試験を対応させて確認する
技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)第2条は、各号の目的を「修得」「習熟」「熟達」と表しています。技能を身につけ、より習熟し、熟達する3段階です。実務では、次の表で期間と試験を対応させます。在留期間の上限は、出入国管理及び難民認定法施行規則の別表第二に定められています。
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| 段階 | 法律上の目的 | 在留期間の上限 | 計画に置く目標 |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 技能等の修得 | 1年以内 | 基礎級の技能検定など(実技・学科)の合格 |
| 第2号 | 技能等の習熟 | 2年以内 | 3級の技能検定などの実技の合格 |
| 第3号 | 技能等の熟達 | 2年以内 | 2級の技能検定などの実技の合格 |
3段階を通して最長5年ですが、そのまま自動的に継続できるわけではありません。号が変わるたびに、技能実習計画の認定を受け直します。出入国在留管理庁と厚生労働省の外国人技能実習制度について(令和8年8月14日改訂)も、受け入れ期間を最長5年間としています。

「イ」と「ロ」の違いは、受け入れる主体
「技能実習1号イ」「技能実習1号ロ」のように、在留資格の名称には号の後にイ・ロが付きます。受け入れ方は次の2つです。
- イは企業単独型です。日本の企業等が、自社の海外事業所の職員か、主務省令で定める密接な関係のある海外機関の事業所の職員を直接受け入れます。
- ロは団体監理型です。営利を目的としない監理団体が受け入れ、その監理のもとで企業が実習生と雇用契約を結びます。
海外の事業所などから直接受け入れる条件に当てはまらない工場は、ロを検討します。協同組合などの監理団体を通し、実習の監理を受けながら雇用契約を結ぶ形です。第1号のイ・ロについては、入管法の別表に、講習を受ける活動と技能の業務に従事する活動が併記されています。
次の号に進むには、試験と計画認定を確認する
移行時には、新たな技能実習計画の認定が必要です。認定基準と申請書類は、技能実習法施行規則に定められています。
第2号の計画申請には、基礎級の技能検定か同等の技能実習評価試験の実技・学科に合格した証明の写しを添えます。第3号の申請には、技能検定3級または技能実習評価試験専門級の実技合格を証明する書面の写しが必要です。
第3号では、一時帰国も必要です。第2号終了後に1か月以上帰国してから始めるか、第3号開始から1年以内に実習を休止して、1か月以上1年未満帰国する方法があります。
第2号・第3号は、移行対象の職種・作業に当たる仕事に限られます。前掲資料では96職種174作業が示されています。機械・金属関係では、機械加工、金属プレス加工、工場板金、めっき、機械保全、電気機器組立てなどです。
自社の作業が移行対象にない場合は、第1号の1年で終了します。社内に技能を残す育成の組み立て方は、多能工化の進め方をスキルマップと技能伝承で整理した記事も受け入れ計画の参考になります。
受け入れられる人数は、常勤職員の数で決まる
団体監理型の第1号の基本人数枠は、常勤職員の総数に応じて決まります。技能実習法施行規則第16条の規定です。常勤職員には、海外事業所の職員と技能実習生を含めません。
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| 常勤職員の総数 | 第1号の基本人数枠 |
|---|---|
| 30人以下 | 3人 |
| 31〜40人 | 4人 |
| 41〜50人 | 5人 |
| 51〜100人 | 6人 |
| 101〜200人 | 10人 |
| 201〜300人 | 15人 |
| 301人以上 | 常勤職員の総数の20分の1 |
通常の第2号の枠は、基本人数枠の2倍です。優良な実習実施者と、一般監理事業の許可を持つ監理団体が組む場合は、第1号で2倍、第2号で4倍、第3号で6倍に広がります。
別に、在籍人数にも制限があります。第1号は常勤職員の総数、第2号はその2倍、第3号は3倍を超えられません。基本人数枠と、この在籍人数の制限を両方確認します。
受け入れ前に、安全と労務の管理も確認する
厚生労働省の令和6年の状況では、技能実習生を使用する11,355事業場に監督指導を行い、8,310事業場(73.2%)で労働基準関係法令の違反を確認しています。令和2年から令和6年の割合は、70〜74%の範囲でした。
主な法令違反事項別の該当事業場割合
データを表で見る
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| 違反事項 | 監督指導実施事業場に占める割合(%) |
|---|---|
| 使用する機械等の安全基準 | 25.0 |
| 割増賃金の支払 | 15.6 |
| 健康診断結果の意見聴取 | 14.9 |
| 労働時間 | 12.4 |
| 衛生基準 | 12.0 |
| 年次有給休暇 | 11.1 |
最も多いのは機械等の安全基準、次に割増賃金の支払い、健康診断結果についての医師等への意見聴取です。機械を使う場合や時間外労働をする場合などには、外国人の受け入れにかかわらず必要になる管理です。
安全衛生と労務の記録が整っていない場合は、受け入れ前に確認してください。人手の確保全体をどう進めるかは、工場の人手不足対策を採る・残す・減らすの順で並べた記事でも説明しています。
この73.2%は、監督指導を受けた事業場での結果です。外国人を受け入れるすべての事業場の違反率ではありません。
2027年4月の育成就労制度では、1号〜3号の区分がなくなる
2024年6月21日公布の法律第60号により、技能実習制度は発展的に解消され、育成就労制度に切り替わります。出入国在留管理庁が示す施行日は、一部規定を除いて令和9年4月1日、つまり2027年4月1日です。
育成就労では1号〜3号の区分を廃止し、期間を通算3年とします。技能と日本語能力の目標は、次のように段階ごとに示されています。
育成就労の技能・日本語の目標は、出入国在留管理庁の分野別運用方針の一覧で確認します。A1・A2.2などは、日本語能力の段階を表す記号です。次の一覧は、分野ごとの条件を確認するため、工業製品製造業の例を示しています。
- 就労開始前は、A1相当の日本語試験の合格、または相当する講習の受講が求められます。
- 1年経過時までの技能・日本語は、分野別の目標を確認します。工業製品製造業の日本語は、A1相当以上です。
- 育成終了までの試験と日本語も、分野ごとに異なります。工業製品製造業では、指定された技能試験への合格と、A2.2相当以上の日本語能力が示されています。
本人の意向による転籍も、一定の要件のもとで認められます。転籍を制限できる期間は1年以上2年以下の範囲で、分野ごとに設定されます。出入国在留管理庁の制度概要では、育成就労の3年を経て特定技能1号の5年へ進む流れが図で示されています。
終了時の技能試験は業務・技能に応じて運用要領の別表で確認し、本人の希望で転籍する際の技能・日本語要件は、1年経過時の目標とは別に確認します。

2027年4月1日以降も、経過措置の対象者は技能実習を続けられます。施行前に認定された計画に基づき、施行日時点で実習を行っている人が対象です。施行前に計画認定と在留資格認定証明書の交付を受けた人は、6月30日までに入国します。
3月31日までに計画認定を申請した場合は、施行後に認定されることがあります。その計画の開始日は6月30日以前で、原則として同日までに入国します。施行前に申請した在留資格認定証明書が施行後に交付される場合は、交付から3か月以内に入国する扱いです。
施行後に第3号へ進むには、2027年4月1日時点で第2号の活動を1年以上行っている必要があります。受け入れ計画は、厚生労働省の経過措置の案内と監理団体に確認してください。
「約46万人」は令和7年末の在留者数、「499,394人」は令和7年10月末の外国人雇用状況届出の労働者数です。時点と集計方法が違うため、単純には比較できません。
よくある質問
技能実習・育成就労・特定技能は何が違うか
技能実習は技能の移転による国際貢献を目的とした制度です。一方、育成就労と特定技能は人手不足分野での人材の育成・確保を目的としています。出入国在留管理庁の資料では、育成就労の3年、特定技能1号の5年、特定技能2号(在留期間を更新でき、通算在留期間の上限なし)という段階が示されています。
第3号まで進めば、必ず5年働けるか
第3号には、技能検定3級か技能実習評価試験専門級の実技合格、3号対象の職種・作業であること、実習実施者の優良要件が必要です。団体監理型では、一般監理事業の許可を持つ監理団体による監理も必要になります。
所定の時期の1か月以上の一時帰国も必要です。これらを満たしても自動的に5年働けるわけではなく、認定条件を監理団体か外国人技能実習機構に確認します。施行後の3号移行には、移行期の注記で説明する条件もあります。
製造業では何人受け入れているか
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点)では、在留資格「技能実習」の労働者は499,394人でした。そのうち製造業が222,243人で、44.5%を占めます。採用・人材テーマの記事一覧では、採用と定着の判断材料をほかのテーマとあわせて扱っています。
期間だけでなく、試験・人数枠・制度移行を確認する
- 1号・2号・3号で違うのは、法律上の目的、在留期間の上限(1年・2年・2年)、計画に置く目標の試験です
- イは企業単独型、ロは団体監理型。海外の事業所や密接な関係を持つ海外の機関から直接受け入れられない工場は、ロを検討することになります
- 第2号・第3号は移行対象職種・作業に当たる仕事に限られ、96職種174作業が公表されています
- 人数枠は常勤職員の総数で決まり、優良な受け入れ側は枠が広がります
- 令和6年に監督指導を受けた事業場の73.2%で労働基準関係法令の違反が確認されています
- 2027年4月に育成就労制度が始まり、1号〜3号の区分は廃止されます
この記事の確認方法
株式会社恒電社 編集部
法令・告示・公的統計・白書など、国や行政が公表している原典にあたり、出典・前提条件・数字の扱いを編集部で確認しています。