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定着率はどう計算する?採用者を分母にする方法と離職率との違い

採用した人のうち離職しなかった割合を、この記事の定着率として計算します。年次離職率との違い、ユースエール認定の5分の1基準と例外、自社で固定する集計条件を説明します。

定着率と書かれたサムネイル。上部に10個の四角が並び右端2個がオレンジ、下に「定着率」「分母は採用した人」の文字
45採用・人材

この記事の「定着率」は、対象期間に採用した人のうち、同じ期間に離職しなかった人の割合です。採用後の状況を確認するため、便宜上この名前を使います。今回確認した原典には、定着率という語を定義した法令・公的統計の用語定義は見当たりませんでした。

計算に使う人数は、若者雇用促進法の施行規則にあります。青少年雇用情報として掲げる直近3事業年度の採用者数と、そのうち離職した人数です。この2つから、採用した集団の中で離職しなかった割合を求めます。

以下では、採用者を分母にする計算、年次離職率との違い、ユースエール認定の数値基準を説明します。最後に、自社の集計条件として決める3点を確認します。

採用者数から、そのうち辞めた人数を引いて計算する

青少年の雇用の促進等に関する法律施行規則(平成27年厚生労働省令第155号)第3条第1項第1号イは、次の人数を青少年雇用情報に挙げています。割合の分母には、この採用者数を使います。

直近の三事業年度に採用した者(新規学卒者等に限る。)の数及び当該採用した者のうち直近の三事業年度に離職した者の数

採用者数と、その採用者のうちの離職者数を対応させます。採用者数から離職者数を引き、採用者数で割ると、次の式です。

定着率(%)=(対象期間に採用した人数 − そのうち離職した人数)÷ 対象期間に採用した人数 × 100

追うのは、決めた対象期間と採用区分に当たる採用者です。その集団で、同じ期間に離職したと数えられなかった人の割合を求めます。対象期間外の採用者や、対象に含めない採用区分の人は計算に入れません。

直近3事業年度に20人を採用し、そのうち4人が同期間に離職した例で計算します。離職しなかった16人を20人で割ると0.8、定着率は80%です。離職した側の割合は4÷20で20%になります。

この20人には、3年前の採用者と昨年の採用者が混ざります。各人を観察できた期間は違うため、「全員を採用後3年間追った率」とは区別します。

青少年雇用情報には、平均継続勤務年数も挙げられている

施行規則第3条第1項第1号には、ほかの情報もあります。ハは雇用する労働者の平均継続勤務年数、ロは男女別の採用者数を挙げています。

左右2列に分けた図。左列は「定着率」の見出しの下に塗りつぶした12個の四角と「対象期間に採用した人」の文字、右列は「離職率」の見出しの下に輪郭だけの12個の四角と「一月一日現在の常用労働者」の文字が並んでいる
図1 定着率と離職率で、分母に置くものが違う

年初の在籍者を分母にする離職率とは区別する

雇用動向調査の離職率は、採用者を分母にする定着率とは違います。厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」の用語定義では、次の式で計算しています。

離職率(%)= 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100

分母は、1月1日に在籍した常用労働者数です。採用された年は問いません。同調査の常用労働者は、期間を定めず雇用する人か、1か月以上の期間で雇用する人です。

この定着率の分母は、指定した期間の採用者です。同じ集団を同じ条件で数えるなら、離職した割合と、離職しなかった割合は合計100%です。

採用者から求める定着率と、雇用動向調査の離職率は、足して100%になるとは限りません。採用者集団と年初在籍者では分母が違い、計算条件も違うためです。

雇用動向調査ベースの離職率をどう出すかは、離職率の計算方法をまとめた記事で分母・分子の決め方まで扱っています。

5分の1以下は、ユースエール認定の離職要件

一般的に「定着率が何%以上なら良い」という公的基準は、今回の原典にはありません。確認できたのは、ユースエール認定という制度の数値基準です。

若者雇用促進法第15条は、常時雇用する労働者が300人以下の事業主について、優良な取り組みを厚生労働大臣が認定できると定めています。このユースエール認定の離職要件は、施行規則第7条第3号イにあります。

  • 離職の割合が5分の1以下:直近3事業年度に新規学卒者等であって通常の労働者として雇い入れた人数に対し、そのうち直近3事業年度に離職した人数の割合が5分の1以下であること
  • 少人数の例外:その採用者数が3人または4人の場合は、離職した人数が1人以下であれば足りる

5分の1以下の離職割合は、この計算なら80%以上の定着率です。ただし、認定の対象は、通常の労働者として雇った新規学卒者等です。さらに、採用者が3人か4人の場合は離職1人以下という例外があり、割合が80%未満でもこの要件を満たす場合があります。

直近3事業年度に対象となる新規学卒者等を採用していない場合は、この離職割合の要件への該当を求めません。

補足:ユースエール認定の要件はこの1つだけではありません。施行規則第7条は、育成方針と教育訓練計画の策定、所定外労働時間、有給休暇の取得、育児休業の状況、情報の公表なども併せて求めています。認定を検討する場合は、最新の公式案内を確認してください。

3年以内に離職しなかった人の割合を、事業所規模別に見る

比較するときは、規模の近い事業所の値も参考になります。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(令和7年10月24日公表)の規模別3年以内離職率を100から引いたのが、次の表です。3年以内に離職しなかった割合を表します。

事業所規模別・3年以内に離職しなかった人の割合(令和4年3月卒業者)

厚生労働省が公表した就職後3年以内離職率を100から引いた値

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」令和7年10月24日公表

高校卒大学卒
事業所規模別・3年以内に離職しなかった人の割合(令和4年3月卒業者)高校卒:5人未満 36.8 %、5〜29人 45.4 %、30〜99人 54.8 %、100〜499人 63.3 %、500〜999人 70.1 %、1,000人以上 73.7 %。大学卒:5人未満 42.5 %、5〜29人 48 %、30〜99人 58.1 %、100〜499人 66.1 %、500〜999人 68.5 %、1,000人以上 73 %高校卒、5人未満:36.8 %大学卒、5人未満:42.5 %高校卒、5〜29人:45.4 %大学卒、5〜29人:48 %高校卒、30〜99人:54.8 %30〜99人大学卒、30〜99人:58.1 %高校卒、100〜499人:63.3 %大学卒、100〜499人:66.1 %高校卒、500〜999人:70.1 %大学卒、500〜999人:68.5 %高校卒、1,000人以上:73.7 %大学卒、1,000人以上:73 %
データを表で見る

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事業所規模別・3年以内に離職しなかった人の割合(令和4年3月卒業者・単位:%)
事業所規模高校卒大学卒
5人未満36.842.5
5〜29人45.448.0
30〜99人54.858.1
100〜499人63.366.1
500〜999人70.168.5
1,000人以上73.773.0

公表された6区分では、小規模の区分ほど離職しなかった割合が低い並びです。30〜99人では高校卒54.8%、大学卒58.1%で、1,000人以上との差は、高校卒18.9ポイント、大学卒14.9ポイントです。

規模の近い区分なら、比較条件の違いを1つ減らせます。ただし、この統計は新規学卒就職者が対象で、中途採用者を含みません。中途採用中心の工場の数字とは、直接比較できません。

規模別の単純比較から、規模が離職の原因だとは言えません。平均との差が自社固有の原因によるものかも、この統計では分かりません。

右端がそろい左端の位置が異なる3本の横棒を描いた図。上から「三年前の採用」「二年前の採用」「昨年の採用」のラベルがつき、右端に「一つの分母」と書かれた縦長の枠、下部の帯に「採用年度で観察期間が違う」と書かれている
図2 直近3事業年度の採用者をまとめるため、採用年度によって観察期間が異なる

採用期間・採用区分・離職の集計期間を決める

自社で集計する前に、次の3点を決めます。条件を変えると、同じ工場でも率が変わるためです。

  1. 対象期間:何年度に採用した人を追うか。若者雇用促進法施行規則の青少年雇用情報で用いられているのは、直近3事業年度です
  2. 分母に入れる人:新規学卒者だけか、中途採用も含めるか。正社員だけか、有期契約も入れるか
  3. 離職を数える期間:対象となる採用者について、いつまでに発生した離職を数えるか。集計の終期を事業年度末などに揃えると、翌年も同じ条件で比べられる

対象を直近1年度にすれば、観察できる離職期間が短くなり、3年度分の集計とは条件が変わります。有期契約者を含める場合は、契約満了をどう扱ったかも示してください。ここでは、採用の対象期間と、離職を数える期間を同じ期間にそろえる場合を想定しています。

離職をどの日まで数えるかも固定します。例えば、退職の効力発生日を基準にする方法です。求人票に率を載せる際は、対象の採用期間、採用区分、離職の集計期間を添えて、説明できる状態にします。

採用年度、採用人数、離職人数、判定時点を1行にまとめ、毎年同じ表へ追加します。記録の形式もそろえれば、翌年の集計で前年の数え方を調べ直す手間を減らせます。

青少年雇用情報は、法律が提供義務を定める情報です。若者雇用促進法第13条第2項は、学校卒業見込者等であることを条件に募集する者や募集受託者に対し、応募者等から求められた場合に情報を提供する義務を定めています。

第14条第2項は、新卒向け求人をハローワーク等に申し込んだ求人者を対象としています。申込先のハローワーク等や、その紹介を受け、または受けようとする学校卒業見込者等から求められた場合、同じく提供義務があります。求人票の書き方そのものは求人票の直し方の記事で扱っています。

よくある質問

定着率と離職率は、足せば100%になるか

同じ採用者集団を、同じ期間・条件で数えた「離職した割合」と「離職しなかった割合」は、合計100%です。年初在籍者を分母にする雇用動向調査の離職率とは、分母が違います。2つを並べるときは、どの人数を分母にしたかを添えてください。

中途採用が中心でも定着率を出せるか

出せます。ただし、同施行規則が青少年雇用情報として掲げているのは、新規学卒者等の採用者数と、そのうち離職した人数です。中途採用を含めた数字を出す場合は、比べる相手が変わります。厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況とは対象が違うため、そのまま並べることはできません。

何%以上なら高いと判断できるか

一般的な基準は、今回確認した原典にはありません。数値基準として確認できるのは、ユースエール認定の要件である5分の1以下という離職の割合だけです。それも、常時雇用する労働者が300人以下の事業主を対象とした認定制度の基準です。若手の定着そのものへの手当ては若手の定着を扱った記事で、採用と人手不足を含む全体像は人材・採用のテーマページで整理しています。

採用した集団を、同じ条件で追って比較する

  • 「定着率」を定義した法令は見当たらない。施行規則が青少年雇用情報として掲げるのは、採用者数と、そのうち離職した人数の2つ
  • ここでの計算では、分母は採用した人。雇用動向調査の離職率は分母が1月1日現在の常用労働者数で、足して100になるとは限らない
  • 数値基準として確認できるのは、ユースエール認定の要件である「離職の割合が5分の1以下」。採用者3人または4人なら離職1人以下で足りる
  • 3年以内に離職しなかった人の割合は、30〜99人の事業所で高校卒54.8%・大学卒58.1%。1,000人以上との差は高校卒18.9ポイント・大学卒14.9ポイント
  • 自社で出すなら、対象期間・分母に入れる人・離職を数える期間の3点を先に決めて、翌年も同じ条件で並べる
指標の意味と比較条件

この定着率は、公的に定義された指標ではなく、施行規則の採用者数と離職者数から、記事が便宜上計算するものです。対象期間に採用した人のうち、同期間中に離職しなかった人を数えます。

掲載した規模別の数値は全産業の新規学卒者の集計で、製造業限定ではありません。自社との比較には学歴・卒業年・観察期間もそろえ、本記事の直近3事業年度の採用者をまとめた定着率とは直接比較しません。条文・数値は2026年9月時点の原典に基づきます。情報提供の義務と認定条件は、最新の公式案内で確認してください。

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編

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