エネルギー管理員の選任は、「会社全体が省エネ法の特定事業者か」と「その工場が第一種・第二種のどちらか」を分けて確認します。結論から言うと、工場・事業場単位で原油換算1,500kL以上になると、第二種エネルギー管理指定工場等ではエネルギー管理員を1人選任します。第一種では、指定された工場等の業種と事務所用途の例外に応じて、管理者と管理員を分けて確認します。
迷いやすいのは、エネルギー管理者、エネルギー管理員、エネルギー管理企画推進者が同じ「省エネ法の担当者」に見えることです。この記事では、工場長が社内で確認しやすいように、対象判定、資格要件、期限、届出書類の順に整理します。
最初に会社全体と工場単位を分ける
省エネルギーセンターのエネルギー管理講習資料では、前年度のエネルギー使用量が原油換算で1,500kL以上の事業者は、5月末日までにエネルギー使用状況届出書を出すと整理されています。既に指定されている事業者は提出不要で、初めて指定を受ける入口として見る書類です。
一方、エネルギー管理員を置くかは、工場・事業場単位の指定で見ます。省エネ法施行令第3条は、第一種エネルギー管理指定工場等の基準を原油換算3,000kLと定めています。第二種は省エネ法第13条で、第一種ではない工場等から一定規模以上のものを指定する構造です。

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| 見る単位 | 基準 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 会社全体 | 原油換算1,500kL以上 | 特定事業者の届出対象か |
| 工場・事業場 | 1,500kL以上3,000kL未満 | 第二種として管理員を置くか |
| 工場・事業場 | 3,000kL以上 | 第一種として管理者か管理員か |
電気代の削減順序や空調省エネは現場改善の話ですが、選任義務は改善テーマの有無ではなく、使用量と指定区分で判断します。まず原油換算値を年度でそろえ、会社全体と工場単位を混ぜないことが出発点です。
エネルギー管理員を置く場面を表で見る
省エネ法第12条は、第一種特定事業者のうち、同法第11条第1項各号に掲げる工場等を設置している者に、工場等ごとのエネルギー管理員選任を求めています。第14条は、第二種特定事業者にも、第二種エネルギー管理指定工場等ごとの管理員選任を求める条文です。
資源エネルギー庁の表でも、第二種特定事業者の第二種エネルギー管理指定工場等はエネルギー管理員1人です。第一種エネルギー管理指定工場等では、製造業・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業の5業種は原則としてエネルギー管理者を選任します。ただし、この5業種でも、法第11条第1項第1号に該当する事務所用途の工場等ではエネルギー管理員を選任します。5業種以外の工場等も管理員の対象です。
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| 区分 | 現場で見る担当 | 法定選任数 |
|---|---|---|
| 第二種指定工場等 | エネルギー管理員 | 1人 |
| 第一種の製造5業種の工場等(法第11条第1項第1号の例外を除く) | エネルギー管理者 | 業種・年度使用量により1〜4人 |
| 第一種のうち事務所用途の工場等、または製造5業種以外の工場等 | エネルギー管理員 | 1人 |
なお、管理者の人数は業種で上限が違います。コークス製造業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業は10万kL未満1人、10万kL以上2人です。製造業のうちコークス製造業を除くものと鉱業は、2万kL未満1人から10万kL以上4人まで段階が分かれます。
「3,000kL以上なら必ず管理者」と覚えると危険です。第一種でも、業種や用途によって管理員を選任する場面があります。逆に第二種では、エネルギー管理者ではなく管理員を確認する流れです。
資格はエネルギー管理士か講習修了者で見る
省エネ法第9条は、エネルギー管理企画推進者について、エネルギー管理講習の課程を修了した者、またはエネルギー管理士免状の交付を受けている者から選ぶ形を置いています。第12条と第14条のエネルギー管理員も、この第9条第1項各号に掲げる者から選任する構造です。
したがって、エネルギー管理員はエネルギー管理士免状だけに限定されません。エネルギー管理講習修了者も候補になります。ただし、講習修了者から選んだ場合は、法が定める資質向上のための講習を一定期間ごとに受けさせる必要があります。
エネルギー管理員の役割は、名義だけの届出担当ではありません。省エネ法は、エネルギーを消費する設備の維持、使用方法の改善、監視などを管理する者として置いています。工場側では、日々の運転記録、設備更新の相談、定期報告書に使う数字の確認まで、どの範囲を本人が見て、どこを設備担当・経理・本社が支えるかを先に決めておきます。
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| 候補者 | 選任可否 | 注意点 |
|---|---|---|
| エネルギー管理士免状の保有者 | 選任できる | 管理者にも選任できる場合がある |
| エネルギー管理講習修了者 | 管理員に選任できる | 定期的な資質向上講習を確認する |
| 講習未修了かつ管理士免状なし | 原則そのままでは不可 | 6か月以内の選任計画で管理する |
資格確認では、氏名、修了番号、免状番号、選任日、担当工場を同じ表にしておくと、届出と定期報告の確認が楽になります。省エネ設備そのものの検討は省エネ補助金の記事で扱いますが、法定担当者の台帳はそれとは別管理にします。
選任は6か月以内、届出は最初の7月末日まで
省エネ法施行規則第23条は、エネルギー管理員を選任すべき事由が生じた日から6か月以内に選任することを定めています。届出については同規則第33条で、選任または解任があった日後の最初の7月末日までに、様式第7の届出書を出す流れです。

ここで混同しやすいのは、5月末、6か月以内、7月末日の3つです。5月末は初めて特定事業者に該当する場合のエネルギー使用状況届出書、6か月以内は担当者の選任、7月末日は選任・解任届出書や定期報告書などの期限です。
選任しただけでは届出完了ではありません。様式第7は、事業者がとりまとめて提出します。複数工場で選任・解任が多い場合は、一覧表を添付できる運用も案内されています。
期限管理では、届出の起点を「指定通知が来た日」だけに固定しないことも大切です。担当者の退職、異動、工場の分割、工場区分の変更があったときは、選任・解任の事由が生じるかを確認します。総務や本社環境部門だけでなく、現場側にも変更の連絡経路を置くと、様式第7の出し忘れを減らせます。
工場でそろえる確認表
本社が届出を担当していても、工場側で確認する材料が散らばると期限直前に詰まります。工場長側では、年度使用量、指定区分、業種、担当者資格、選任日、届出状況を同じ確認表にしておくと、誰が何を持っているかを追いやすくなります。
特に、人事異動で担当者が替わる年は注意します。法令上の期限は「選任すべき事由が生じた日」や「選任・解任があった日」を起点にします。年度末の集計だけで管理すると、前任者の解任、新任者の選任、様式第7の提出が別々に残りやすくなります。
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| 確認項目 | 見る資料 | 判断 |
|---|---|---|
| 年度使用量 | 原油換算表 | 1,500kL・3,000kLの区分を見る |
| 工場の業種・用途 | 登記・操業実態・届出区分 | 管理者か管理員かを見る |
| 候補者資格 | 免状・講習修了証 | 選任できるか見る |
| 選任日 | 社内辞令・届出台帳 | 6か月以内か見る |
| 届出 | 様式第7・受理控え | 最初の7月末日までか見る |
この表は、エネルギー領域の記事で扱う電気料金や設備改善とは別の、法令対応の棚卸しです。使用量が増えた年、工場を増やした年、担当者が異動した年は、年度末ではなく異動や指定の直後に見直します。
省エネ法に関係しない他業務との兼務は可能です。一方、エネルギー管理員は、原則として、既にエネルギー管理統括者・企画推進者・管理者・管理員に選任されている者以外から選びます。兼任には所定の基準を満たした上で承認を受ける必要があり、管轄経済産業局への相談だけで兼任できるわけではありません。なお、現にエネルギー管理統括者に選任されている者との兼任は、承認基準上認められていません。
よくある質問
エネルギー管理員はエネルギー管理士でないと選任できませんか?
いいえ。エネルギー管理士免状の保有者だけでなく、エネルギー管理講習修了者も候補になります。ただし、講習修了者から選任した場合は、資質向上講習の管理が必要です。
第二種エネルギー管理指定工場等では何人必要ですか?
資源エネルギー庁の表では、第二種特定事業者の第二種エネルギー管理指定工場等は、エネルギー管理員1人です。工場ごとに対象を確認します。
届出期限は選任から何日以内ですか?
省エネ法施行規則では、選任または解任があった日後の最初の7月末日までに様式第7を提出する形です。選任そのものは、選任すべき事由が生じた日から6か月以内に行います。
まとめ
- 入口:会社全体の前年度使用量が原油換算1,500kL以上なら、まず特定事業者の届出を確認する。
- 工場単位:1,500kL以上3,000kL未満は第二種、3,000kL以上は第一種として指定区分を見る。
- 担当者:第二種は管理員1人。第一種は業種・用途により管理者か管理員かを分ける。
- 資格:管理員はエネルギー管理士免状保有者またはエネルギー管理講習修了者から選ぶ。
- 期限:選任は6か月以内、様式第7の届出は選任・解任後の最初の7月末日までに確認する。
この記事の確認方法
株式会社恒電社 編集部
製造業の電気設備・自家消費型太陽光発電の現場に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。