省エネ補助金とは、省エネにつながる設備を導入するときに、国が費用の一部を負担する制度です。工場の省エネ設備投資に関する国の支援策の一つが、資源エネルギー庁の「省エネ・非化石転換補助金」です。
最初に、計画している取組みが4つの類型のどれに近いかを確認します。工場全体、燃料の転換、対象設備単位の更新、エネルギー管理システムの4つです。
進め方は類型を確かめる、補助率と上限を確かめる、公募回次に合わせる、発注できる時期を公募要領で確認するの順です。制度の内容と金額は年度ごとに変わるため、この記事の数字は2026年9月時点のものとして読んでください。
工場向けは4類型。どれに近いかで補助率と上限が変わる
資源エネルギー庁は、令和7年度補正予算の省エネ・非化石転換補助金を4つの類型で実施しています。予算額は675億円で、国庫債務負担行為を含めた総額は2,450億円です。

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| 類型 | 対象 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ 工場・事業場型 | 工場や事業場の全体で大きな省エネを達成する取組み | 1/2(中小)1/3(大)等 | 15億円 等 |
| Ⅱ 電化・脱炭素燃転型 | 電化、または炭素の排出が少ない燃料へ切り替える機器の更新 | 1/2 等 | 3億円 等 |
| Ⅲ 設備単位型 | リストから選択する機器への更新 | 1/3 等 | 1億円 等 |
| Ⅳ EMS型(エネルギー需要最適化型) | エネルギーマネジメントシステムの導入 | 1/2(中小)1/3(大) | 1億円 |
出典は資源エネルギー庁「令和7年度補正予算における省エネ支援パッケージ」(2025年11月)です。同PDFはⅣを「EMS型」と表記し、資源エネルギー庁の各種支援制度のページでは「エネルギー需要最適化型」と表記されています。表の「等」は、枠や条件によって別の数字が適用される場合があることを示します。
令和7年度補正予算では、関連する補助事業が2つに分かれています。「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」はⅠ工場・事業場型、Ⅱ電化・脱炭素燃転型、ⅢGX設備単位型、Ⅳエネルギー需要最適化型を扱い、予算額は550億円です。
もう1つの「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、Ⅲ設備単位型とⅣエネルギー需要最適化型を扱います。予算額は125億円です。資料や事業によってⅢ・Ⅳの名称が異なるため、申請先の公募要領上の名称を確認してください。
公募は回次に分かれる。申請期間から逆算して準備する
補助金は通年で受け付けているわけではありません。公募の期間が決まっており、その中で申請します。
令和7年度補正予算事業では、一次公募が2026年3月30日から4月27日まで実施され、三次公募は同年8月20日に始まりました。二次公募について、資源エネルギー庁の省エネ支援策パッケージのページでは「6月上旬〜7月上旬(予定)」と案内されていました。
公募の詳細は、執行団体である一般社団法人環境共創イニシアチブが公表します。

申請期間を逃すと、その回次には申請できません。次回公募の有無と時期は公表情報で確認します。設備更新の計画は、工事の希望時期からではなく公募の時期からの逆算です。
時期に関わる制度がもう1つあります。それが省エネ・地域パートナーシップです。パートナー金融機関から支援を受けた中小企業等が、申請時に「パートナー金融機関による確認書」を添付すると、審査で加点されます。
ここには順序の条件が付いています。確認書は、補助金に申請する前に取得しておかなければなりません。公募が始まったあとに受けた支援も加点の対象です。なお、加点数は公表されていません。
交付決定と条件。発注できる時期は公募要領で決まる
補助金の手続きは、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が枠組みを定めています。略して補助金適正化法と呼ばれる、1955年に制定された国の補助金全般に共通する法律です。
同法第6条は、申請があったときに国が審査を行い、交付すべきものと認めたときに交付の決定をすると定めています。
第7条第1項は、その交付決定に条件を付けるものとしています。条文が挙げるのは次の事項です。
- 経費の配分の変更をするときは承認を受けること
- 補助事業を行うため締結する契約に関する事項その他の経費の使用方法
- 補助事業の内容を変更するときは承認を受けること
- 補助事業を中止し、または廃止するときは承認を受けること
- 予定の期間内に完了しない場合または遂行が困難となった場合は、速やかに報告して指示を受けること
これらを工場側の手続きに引き直すと、申請内容に対して交付決定が行われ、決定内容と付された条件に従って事業を進めることになります。発注や契約をいつから行ってよいかも事業ごとの条件で決まるため、着手前に公募要領で確認してください。
設備を入れたあとにも義務が残る
補助金は受け取って終わりではありません。第11条は、補助事業者は交付決定の内容と付された条件に従い、善良な管理者の注意をもって事業を行わなければならないと定めています。補助金を他の用途に使うことも禁じられています。
設備そのものにも制限がかかります。第22条が定めるのは、補助事業で取得した財産や、効用が増加した財産の扱いです。国の承認を受けずに、交付の目的に反して使用・譲渡・交換・貸付け・担保に供することはできません。対象となる財産の範囲は政令で定められています。
工場の実務では、ここが後から効いてきます。補助金で入れた設備を別の拠点へ移す、生産品目の変更で使わなくなったので売却する、といった判断をする前に、承認が要るかどうかを確認します。窓口は、社内なら設備担当と経理、社外なら執行団体の問い合わせ先です。
申請の前に工場側で整理しておく数字
申請準備では、省エネ効果を検討するため、現在のエネルギー使用量や設備の稼働状況を整理しておくと進めやすくなります。いまの使用量が分からないままでは、効果の見込みを立てられません。
- 工場全体のエネルギー使用量:公募要領が求める期間分。電気・ガス・重油などを種類ごとに。
- 更新したい設備の使用量:稼働時間と負荷の実績。台数と運転パターンも。
- 更新前後の仕様:型式、能力、効率の値。メーカーの資料でそろえます。
- 生産量などの分母:原単位で示す場合に要ります。
実際に提出する数値、算定期間、証憑は、申請する類型・枠の公募要領に従ってください。現状把握の進め方に迷う場合は、省エネ診断の利用を検討できます。資源エネルギー庁の「各種支援制度」は、省エネの専門家が中小企業等の工場・ビル等のエネルギー使用状況を調べる事業だと説明しています。現地調査やIT機器を活用した分析等により、省エネにつながるヒントを見つける内容です。
令和7年度補正予算では33億円が計上され、2026年3月30日から予算の上限に達するまで受け付けています。
電気の使用量そのものを整理する順序は工場の電気代はどこから削る?基本料金と使用量に分けて見る順序で扱っています。設備1台の使い方を測るところから始めるならコンプレッサのエア漏れはいくら分か?工場停止日にロード率を測って金額に直す手順が参考になります。
エネルギー全般の記事はエネルギーコスト削減のテーマページにまとめています。
つまずきやすいところ
- 公募の時期を工事の都合で決める:回次は先に決まっています。工事日程を後ろに合わせます。
- 着手できる時期を自己判断する:発注や契約ができる時期は、事業ごとの公募要領で確認します。
- 省エネ量の根拠が出せない:使用量の実績がないと効果を計算できません。計測から始めます。
- 確認書を申請後に取りに行く:パートナー金融機関の確認書は、申請前に取得しておく必要があります。
- 設備の移設や売却を独断で決める:補助事業で取得した設備等には、法令や交付条件に基づく処分の制限がかかる場合があります。
よくある質問
中小企業と大企業で補助率は変わりますか
類型によって変わります。工場・事業場型とエネルギー需要最適化型では、中小が2分の1、大企業が3分の1と示されています。設備単位型は3分の1、電化・脱炭素燃転型は2分の1です。
工場・事業場型、電化・脱炭素燃転型、設備単位型の数字には「等」が付されており、枠や条件で別の数字が適用される場合があります。
補助金で入れた設備は自由に使えますか
使用そのものは補助事業の目的の範囲で行います。ただし補助金適正化法第22条により、補助事業で取得し、または効用が増加した財産を、国の承認なく交付の目的に反して使用・譲渡・交換・貸付け・担保に供することはできません。対象となる財産の範囲は政令で定められています。
移設や売却を検討する場合は、事前に執行団体へ確認してください。
いまから準備して間に合いますか
公募回次によります。令和7年度補正予算事業では、三次公募が2026年8月20日に始まりました。締切と要件は回次ごとに変わるため、執行団体の公表内容を確認してください。
今回の回次に間に合わない場合でも、使用量の計測は進められます。省エネ診断は予算の上限に達するまでの受付なので、受付状況を確認したうえで利用を検討してください。
まとめ
- 本記事で扱った省エネ・非化石転換補助金は4類型です。工場全体、電化・燃料転換、対象設備単位、エネルギー管理システムのどれに近いかで補助率と上限が変わります。
- 令和7年度補正予算の代表的な補助率は、工場・事業場型が2分の1(中小)ほか、上限は15億円ほかと示されています。令和7年度補正予算事業の三次公募は2026年8月20日に始まりました。
- 補助金適正化法は、交付決定と、そこに付される条件の仕組みを定めています。発注できる時期は公募要領で確認します。
- 設備を入れたあとも、善良な管理者の注意による事業実施と、取得した設備等の処分制限が続きます。移設や売却の前に承認の要否を確かめます。
この記事の確認方法
株式会社恒電社 編集部
製造業の電気設備・自家消費型太陽光発電の現場に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。