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離職率の計算方法は?分母・分子の決め方と製造業の平均との比べ方

離職率の計算は「離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100」。分母と分子の決め方、計算例、製造業の平均との比べ方を整理します。

「離職率の計算」「分母と分子をどう決めるか」の見出しと、分子より分母が大きい分数の図を配したサムネイル画像
35採用・人材

離職率とは、ある期間に辞めた人数を、在籍者数に対する割合で表した数字です。式そのものは単純です。分母をいつ時点の人数にするか、パートタイムの人を含めるかで、出てくる数字は変わります。

厚生労働省の雇用動向調査は、離職率を離職者数を1月1日現在の常用労働者数で割った割合と定義しています。自社で数えるときも計算式と対象者の範囲を揃えると、公表されている産業別の数字を比較の目安にできます。逆に、独自の数え方で出した率を平均と並べても、高い低いの判断はできません。

まず式と用語を確認します。そのうえで迷いやすい4点の決め方、計算例、製造業の平均との比べ方、「3年以内離職率」との違い、出した数字の使い道の順に進みます。

離職率の式は「離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数」

離職率は、1年間に辞めた人数を、その年の初めの在籍者数で割って求めます。分母は期末でも平均でもありません。年初の一点で固定するのが公的統計の決め方です。

離職率(%)= 1年間の離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100

この式は厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」の主な用語の定義に書かれています。同じ調査では入職率も同じ分母で計算します。分母を共通にしているので、入った人数と辞めた人数を同じものさしで比べられます。

式に出てくる2つの言葉には、調査上の定義があります。

  • 常用労働者:期間を定めずに雇われている人、または1か月以上の期間を定めて雇われている人。パートタイムの人も含みます
  • パートタイム労働者:常用労働者のうち、1日の所定労働時間が一般の労働者より短い人。所定労働時間が同じでも、1週の所定労働日数が少ない人を含みます
  • 離職者:調査対象期間中に事業所を退職した人と解雇された人。他企業への出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者は除きます

ここで大事なのは、分母にパートタイムの人が入っている点です。全産業の公表値では、パートタイム労働者の離職率が一般労働者より高くなっています。ほかの条件が同じなら、パート比率の違いが全体の率に効きます。人数構成が違う会社どうしを、全体の率だけで比べるのは無理があります。

離職率の分母と分子の関係を示した図。分母は1月1日現在の常用労働者数、分子は1年間の離職者数で、出向者は含み社内の他事業所への転出者は除くと注記した図
図1 分母は年初の人数、分子は1年間の離職者

分母と分子で迷う4点をどう決めるか

自社で数えるときに迷うのは、時点・期間・対象者・異動の4点です。公的統計はこの4点をすべて決めています。同じ決め方を借りれば、比較できる数字になります。

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迷う点雇用動向調査の決め方自社で数えるときの目安
分母の時点1月1日現在の常用労働者数期の初日で固定し、毎年ずらさない
対象期間令和6年調査では、令和6年1月から12月までの1年間会計年度でもよい。分母の時点と期間の始まりを合わせる
対象者の範囲常用労働者(パートタイムを含む)全体で1本出し、一般とパートに分けた率も併せて出す
出向・社内異動他企業への出向者は離職者に含む。同一企業内の他事業所への転出者は除くグループ会社への転籍と工場間異動を、毎年同じ扱いにする

4点のうち、実務でぶれやすいのは対象期間と分母の時点の組み合わせです。分母を4月1日の人数にしたなら、分子も4月から翌年3月までの離職者にします。分母だけ年度初日に変えて、分子を暦年のままにすると、数字の意味が合わなくなります。

もう一つ、期の途中で入って途中で辞めた人の扱いも決めておきます。雇用動向調査の式では、この人は分子に入りますが分母には入りません。だから離職率が100%を超えることも、計算上はあり得ます。短期の入退社が多い職場ほど、率は実感より高く出ます。

常用労働者120人の工場で数えてみる

数字を入れると、決めごとの効き方が見えます。1月1日現在の常用労働者が120人、うちパートタイムが30人の工場を例にします。1年間の離職者は、一般労働者が7人、パートタイムが5人でした。

(7人 + 5人)÷ 120人 × 100 = 10.0%

全体の離職率は10.0%です。同じ数字を就業形態別に割ると、見え方が変わります。一般労働者は7人÷90人で7.8%、パートタイムは5人÷30人で16.7%です。全体の10.0%という1つの数字だけでは、どちらが動いているのか分かりません。

就業形態で分けるのは、公的統計もやっていることです。令和6年の全産業では、一般労働者の離職率が11.5%、パートタイム労働者が21.4%でした。水準がもともと違います。自社の数字も同じ粒度に割ってから、平均と並べます。

製造業の平均と比べる

比べる相手は「全産業の平均」ではなく「製造業」です。産業によって水準が大きく違うためです。令和6年の製造業は、入職率8.9%・離職率9.6%でした。

産業別の入職率と離職率(令和6年)

常用労働者・就業形態計

出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」表4-2

入職率離職率
産業別の入職率と離職率(令和6年)入職率:産業計 14.8 %、建設業 11.7 %、製造業 8.9 %、電気・ガス・熱供給・水道業 8.8 %、情報通信業 11.2 %、運輸業,郵便業 10 %。離職率:産業計 14.2 %、建設業 10 %、製造業 9.6 %、電気・ガス・熱供給・水道業 8.8 %、情報通信業 10.2 %、運輸業,郵便業 10.2 %

※ 分母はいずれも1月1日現在の常用労働者数

データを表で見る

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産業別の入職率と離職率(令和6年・%)
産業入職率離職率
産業計14.814.2
建設業11.710.0
製造業8.99.6
電気・ガス・熱供給・水道業8.88.8
情報通信業11.210.2
運輸業,郵便業10.010.2

製造業の離職率9.6%は、産業計の14.2%より4.6ポイント低い水準です。ただし入職率のほうも8.9%と低く、入る人より辞める人が0.7ポイント多い離職超過でした。産業計は入職が離職を上回っています。低い離職率が、そのまま人が増えていることを意味するわけではありません。

だから離職率は入職率とセットで見ます。離職率だけを追うと、採用が細っている状態を「安定している」と読み違えます。2つの率の差から、その年の入職者数と離職者数のどちらが多かったかを確認できます。人手不足の全体像は工場の人手不足対策は何から?採る・残す・減らすの3つを製造業の公的データで並べるで整理しています。

「3年以内離職率」は別の数え方

採用の話で出てくる「3年以内離職率」は、雇用動向調査の離職率とは別の統計です。分母も期間も違います。混ぜて比べると、必ずおかしな結論になります。

厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)は、ハローワークに提出された雇用保険の加入届をもとに集計しています。加入届の記録から、学歴ごとに新規学卒者と推定される就職者数を割り出し、これを分母にします。

分子は、そのうち3年間のあいだに離職した人の数です。令和4年3月卒業者なら、令和4年3月1日から令和7年3月31日までの離職を数えています。離職理由や離職後の状態は問いません。結果は新規高卒37.9%・新規大卒33.8%でした。

この統計は事業所規模別の数字も出しています。規模が小さいほど率は高く出ます。

事業所規模別 就職後3年以内離職率(令和4年3月卒業者)

新規高卒就職者・新規大卒就職者

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」令和7年10月24日公表

高校大学
事業所規模別 就職後3年以内離職率(令和4年3月卒業者)高校:5人未満 63.2 %、5〜29人 54.6 %、30〜99人 45.2 %、100〜499人 36.7 %、500〜999人 29.9 %、1,000人以上 26.3 %。大学:5人未満 57.5 %、5〜29人 52 %、30〜99人 41.9 %、100〜499人 33.9 %、500〜999人 31.5 %、1,000人以上 27 %高校、5人未満:63.2 %大学、5人未満:57.5 %高校、5〜29人:54.6 %5〜29人の事業所大学、5〜29人:52 %高校、30〜99人:45.2 %大学、30〜99人:41.9 %高校、100〜499人:36.7 %大学、100〜499人:33.9 %高校、500〜999人:29.9 %大学、500〜999人:31.5 %高校、1,000人以上:26.3 %大学、1,000人以上:27 %

※ 雇用保険の加入届をもとに集計した数字

データを表で見る

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事業所規模別 就職後3年以内離職率(令和4年3月卒業者・%)
事業所規模高校大学
5人未満63.257.5
5〜29人54.652.0
30〜99人45.241.9
100〜499人36.733.9
500〜999人29.931.5
1,000人以上26.327.0

高卒では、5人未満の事業所が63.2%、1,000人以上が26.3%です。差は36.9ポイントあります。自社の新人定着を評価するなら、学歴・卒業年・観察期間・事業所規模を揃えて比べます。30〜99人規模に就職した新規高卒者は45.2%です。同じ条件の自社の数字がこれより低ければ、同規模帯の公表値を下回っていると確認できます。

なお、この規模別の数値は全産業の集計です。製造業や工場に限定した数字ではありません。新人の定着そのものの進め方は製造業の3年以内離職率は何%?新人の定着に向けた90日設計と面談の型で扱っています。

数え方の違う2つの離職率を並べた図。雇用動向調査は分母が全常用労働者で期間は1年間、新規学卒3年以内は分母が新規学卒者で期間は3年間と示した図
図2 「離職率」には数え方の違う2つがある

出した数字をどう使うか

率を出しただけでは、打ち手は決まりません。次に見るのは、辞めた理由の内訳と、辞めた人の勤続期間です。どちらも自社の記録から取れます。

公的統計にも理由別の数字があります。令和6年の理由別離職率を見ると、個人的理由が10.7%、事業所側の理由が0.8%でした。個人的理由には結婚・出産・育児・介護なども含まれます。理由の分類は会社ごとに違うので、自社では退職面談の記録から分類を作ります。

勤続期間で分けると、手を打つ場所がはっきりします。入社1年未満が多いなら、見るのは採用時の条件提示と初期教育です。5年以上が多いなら、賃金と役割の設計を見ます。同じ10%でも、中身が違えば対策は別です。求人票の直し方は求人票はどう直す?有効求人倍率と法定明示項目で見る採用の5段階にまとめています。人材まわりの記事は採用・人材のテーマ一覧から探せます。

数え方を決めたら、毎年同じ手順で出します。定義を年ごとに変えると、推移が読めなくなります。1年目の数字は高くても低くても構いません。翌年と比べられる形で残すことが先です。

補足:雇用動向調査は、日本標準産業分類に基づく16大産業に属し、常用労働者5人以上を雇用する事業所から約15,000事業所を調査対象とする標本調査です。自社の数字と比べるときは、計算式に加えて、暦年・常用労働者・離職者・産業分類の条件も揃えてください。会計年度など別の期間で計算した自社値との比較は、参考値として扱います。

よくある質問

離職率は何%なら高いと言えますか

単独の水準では判断できません。比べる相手を揃えると読めます。製造業の令和6年の離職率は9.6%でした。雇用動向調査の年次離職率は、就業形態などの条件を揃えて比べます。新規学卒者の3年以内離職率は、学歴・卒業年・観察期間・事業所規模を揃えます。自社の前年との比較も同時に見ます。

分母は期首と期末のどちらを使いますか

公的統計に合わせるなら期首です。雇用動向調査は1月1日現在の常用労働者数を分母にしています。期末や平均人数を使う流儀もありますが、その場合は外部の統計と直接は比べられません。社内で定義を1つに決めて、毎年同じにします。

定年退職や契約満了も離職者に数えますか

雇用動向調査の定義では、期間中に事業所を退職した人と解雇された人が離職者です。理由による除外はしていません。自社で「自己都合のみ」を数えたい場合は、全体の率とは別の指標として出します。2つを同じ名前で呼ばないようにします。

まとめ

  • 離職率は「1年間の離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100」で求める
  • 時点・期間・対象者・異動の4点を先に決め、毎年同じ決め方で数える
  • 全体の率は一般労働者とパートタイムに分けて出す
  • 比べる相手は製造業の数字。令和6年は入職率8.9%・離職率9.6%で離職超過だった
  • 新規学卒の3年以内離職率は分母も期間も別の統計。規模帯を揃えて読む
  • #離職率
  • #定着
  • #雇用動向調査
  • #人材

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株式会社恒電社 編集部

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