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コンプレッサのエア漏れはいくら分か?工場停止日にロード率を測って金額に直す手順

コンプレッサのエア漏れは、工場停止日のロード率から概算できます。省エネ法の判断基準が求める点検の管理標準と、電気料金相当額に直す手順をまとめました。

コンプレッサのエア漏れの記事のサムネイル。淡い緑灰の背景に「エア漏れ」「停止日の運転から量を測る」の文字と、継手から空気が抜ける配管の図
42エネルギー

エア漏れとは、コンプレッサでつくった圧縮空気が、配管や継手のすき間から作業に使われないまま外へ抜けることです。圧縮空気は電気からつくるため、抜けた分はそのまま電気代になります。空気配管のある工場で、誰も設備を動かしていない時間帯にコンプレッサが回っていれば、漏れを疑う場面です。

やることは3つです。停止日に漏れの量を測り、電力量に直し、明細の単価で金額にする。この順で進めると、直す価値のある場所から手を付けられます。

ここでは、省エネ法の判断基準の確認から、測り方、金額への直し方、点検の回し方まで順に説明します。数字は架空の工場の例です。

エア漏れは「壊れた設備」ではなく管理標準の話

エア漏れの点検は、国の告示で「管理標準を決めて定期的に行うこと」と書かれている項目です。故障してから直す話ではありません。

ここでいう告示は、省エネ法にもとづく経済産業省「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」です。平成21年経済産業省告示第66号として定められ、最終改正は令和7年12月26日です。工場の設備ごとに、何を管理すべきかが書かれています。

ポンプ、ファン、ブロワー、コンプレッサー等の流体機械は、流体の漏えいを防止し、流体を輸送する配管やダクト等の抵抗を低減するように保守及び点検に関する管理標準を設定し、これに基づき定期的に保守及び点検を行うこと。

— 経済産業省「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」Ⅰ-2(1)③イ

管理標準とは、いつ・どこを・誰が・どの基準で見るかを決めて文書にしたものです。エア漏れの場合は、対象の部位、点検の頻度、漏れと判定する基準、記録の残し方までを書きます。

自社が対象かどうかは、エネルギー使用量で見分けます。資源エネルギー庁の「事業者の区分と義務」によると、事業者全体の年度間エネルギー使用量が原油換算で1,500kL以上だと特定事業者などに指定されます。指定されると、判断基準に定めた措置の実践、つまり管理標準の設定と省エネ措置の実施が義務になります。目標は、中長期的にみて年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減です。

判定の単位は工場ごとではなく事業者全体です。事業者全体で1,500kL未満であり、特定事業者等に指定されていなければ、ここで挙げた届出や定期報告の義務はありません。それでも指導・助言の対象にはなります。判断基準そのものは、規模を問わず点検項目の下敷きとして使えます。

この項目が実際に見られる場面もあります。資源エネルギー庁が公表している工場等現地調査の実施方針を見ると、対象は事業者クラス分け評価制度でBクラスとされた特定事業者等です。2026年8月時点で掲載されている令和7年度分では、約190事業者が調査の対象になっています。

調査当日は、判断基準の該当する項目ごとに、管理標準の設定状況と遵守状況が「実施・一部実施・未実施」の3段階で評価されます。見られるのは管理標準の有無だけではありません。それに沿った点検や措置の実施状況も評価されます。

漏れの量は、工場を止めた日に測る

漏れの量は、生産を止めた日にコンプレッサだけを運転し、加圧していた時間の割合から求めます。生産中は空気の使用と漏れが混ざるため、この簡易測定では切り分けにくくなります。

手順は次のとおりです。設備担当や電気の担当者と一緒に行います。

  1. 停止日を選ぶ:休日など、空気を使う設備がすべて止まっている日にします。
  2. 配管は通常どおりにする:普段閉めない元弁は閉めず、いつもの運転状態に近づけます。
  3. ロード状態の時間を測る:取扱説明書でロード(加圧)とアンロードを示す表示を確認し、ロード状態だった時間を合計します。表示で区別できない機種では電力計を使います。
  4. 割合を出す:加圧していた時間を測定時間で割ります。これがロード率です。
工場停止日の1時間を、ロードとアンロードが交互に並ぶ帯で示し、ロード時間の合計を測定時間で割ってロード率を求める式を添えた図
図1 停止日の運転からロード率を求める

図1のように、停止日でもコンプレッサは一定の間隔で加圧を繰り返します。使っていないのに圧力が下がるためです。この繰り返しの合計が、漏れを補うために使った運転時間の目安になります。

測定時の注意:この測り方は、ロードとアンロードを表示で確認できる一定速機を想定した簡易測定です。台数制御機やインバータ機では運転時間の割合を漏れの割合として扱えないため、停止日の消費電力量を電力計で測ってください。測定前には、加圧で不意に動く機器がないこと、自動再起動や遠隔起動が管理されていることを設備担当と確認します。安全装置や計装用の空気など、止められない用途は遮断しないでください。遮断できない計装用の空気や、ドレン排出・パージのような正常な空気消費がある場合は、測ったロード時間に漏れ以外の消費も含まれるため、その有無を記録します。圧力が安定してから、複数回の運転周期を含む時間で測ります。弁の操作や機器の隔離は、取扱説明書と工場の安全手順に従ってください。

ロード率を電力量と金額に直す

ロード率が出れば、金額まではかけ算だけです。コンプレッサの消費電力と年間運転時間を用意します。

まず電力量です。言葉にすると、ロード中の消費電力に停止日のロード率と年間の系統運用時間を掛けたものが、ロード運転分の年間電力量になります。年間の系統運用時間とは、コンプレッサを運用して配管を加圧状態に保っている年間の時間です。

ロード運転分の年間電力量(kWh)= ロード中の消費電力(kW)× 停止日のロード率 × 年間の系統運用時間(時間)

次に金額です。電力量に単価を掛けます。

ロード運転分の年間電気料金相当額(円)= ロード運転分の年間電力量(kWh)× 電力量の単価(円/kWh)

架空の工場で試します。37kWのコンプレッサ、年間の系統運用時間6,000時間、停止日のロード率20%とします。37×0.2×6,000で44,400kWhです。単価を20円/kWhとすると、年間888,000円相当になります。

単価は自社の電気料金明細から取ります。基本料金を除く電力量料金の金額に、燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金の金額を足し、その期間の使用電力量で割ると実効単価が出ます。明細の項目については再エネ賦課金と燃料費調整額の読み方で分けて項目ごとに説明しました。

停止日のロード率別に見た年間の電気料金相当額

37kW・年間の系統運用時間6,000時間・単価20円/kWhの場合

出典:本記事の計算式による試算(架空の工場の例)

年間の電気料金相当額
停止日のロード率別に見た年間の電気料金相当額年間の電気料金相当額:5% 222,000 円、10% 444,000 円、15% 666,000 円、20% 888,000 円、30% 1,332,000 円年間の電気料金相当額、5%:222,000 円年間の電気料金相当額、10%:444,000 円年間の電気料金相当額、15%:666,000 円年間の電気料金相当額、20%:888,000 円本文の例年間の電気料金相当額、30%:1,332,000 円

※ 単価と運転時間は自社の明細と稼働実績に置き換える

データを表で見る

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停止日のロード率別に見た年間の電気料金相当額(円)
停止日のロード率年間の電気料金相当額(円)
5%222,000
10%444,000
15%666,000
20%888,000
30%1,332,000

ロード率が5%から30%に上がると、金額は222,000円から1,332,000円へと6倍になります。同じ設備、同じ系統運用時間でも、停止日のロード率で結果は大きく変わります。ロード率を10ポイント下げられれば、この計算上は年間444,000円分が減ります。

試算の条件:本文の金額は、37kWをロード中の実消費電力として扱い、アンロード中の消費電力を含めず、測定時と年間の運用時で圧力・配管系統・漏れの状態が同じという前提で計算した概算です。この式で出るのはロード運転分の簡易試算であり、漏れによる総電力量そのものではありません。実額を出すときは、停止日の消費電力量を電力計で直接測るか、ロード時とアンロード時それぞれの実入力電力を使ってください。基本料金への影響はこの計算に含めていません。

コンプレッサの電気代そのものが大きい場合は、契約や運転時間帯の見直しも並行して効く場面です。工場全体の順序は工場の電気代をどこから削るかの順序で整理しています。電気とエネルギーに関する記事は、エネルギーのテーマページからまとめて探せます。

漏れが見つかりやすい場所から当たる

点検は、動かす部品と抜き差しする部品から始めます。点検表も、その部品名で作るのが早道です。

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先に見る場所起きやすい状態点検で確かめること
継手・カプラ抜き差しの繰り返しでシールが減る材質に適合した漏れ検知液で泡が出ないか
ホース・チューブ曲げぐせ、擦れ、踏まれた跡表面の亀裂と根元の緩み
電磁弁・シリンダ内部の摩耗による通り抜け停止中に空気の音が続かないか
ドレン排出器異物をかんで開いたまま固着排出のあとに閉じているか
使っていないライン撤去した設備の配管が生きたまま元弁が閉まっているか

探し方は3つあります。停止日の静かな時間に音で追う方法、漏れ検知液を塗って泡を見る方法、超音波の漏れ検知器を使う方法です。音と検知液は、大がかりな道具なしで始められます。

コンプレッサから配管、継手、ホース、電磁弁、ドレン排出器へ空気が流れる系統図に、先に確認したい5か所を丸印で示した図
図2 先に確認したい5か所

台帳には、場所、見つけた日、直した日、使った部品を残します。同じ継手が半年で3回出てくれば、部品の選定そのものを見直す材料になります。

点検の頻度を判断基準は指定していません。工場ごとに決めて管理標準に書きます。月次で主要ラインを一巡し、年1回は停止日にロード率を測り直す形が組み立てやすい単位です。

塞ぐ前に、送っている圧力を見直す

漏れを塞ぐのと同時に、そもそも送っている圧力が高すぎないかを確認します。圧力が高いほど、同じすき間から抜ける量は増えます。

判断基準は、新設や更新のときの措置として2つの考え方を示しています。1つは、エアーコンプレッサーを小型化して分散配置することで合理化が図れる場合は、その方法を採ること。もう1つは、低い圧力でよい用途に対して、減圧弁で圧力を落として使うのではなく、低圧用のブロワーやファンを使うことです。

現場で確かめる順序は4段階です。はじめに、用途ごとの必要圧力を洗い出します。次に、いちばん高い圧力を必要とする設備を特定します。確認したいのは、その設備だけのために工場全体の圧力を上げていないかどうかです。ブローや乾燥のように低圧で足りる用途が多ければ、その系統を分ける検討に進めます。

コンプレッサ本体が古く修理が続いている場合は、更新との比較が次の論点になります。判断の材料の並べ方は設備は修理か更新かの判断基準にまとめています。省エネ法の対象事業者として定期報告に何を書くかという観点は、運営会社である恒電社のサイトにある省エネ法の対象事業者に関する解説でも触れられています。

よくある質問

エア漏れは工場の圧縮空気のうち何割くらいあるものですか

公的な統計で示された割合は見当たりませんでした。割合は配管の長さ、継手の数、経過年数で変わるため、自社の停止日にロード率を測るのが確実です。1回測っておけば、翌年の同じ測定と比べて増減を追えます。比べるときは、圧力設定、つないでいる配管系統、運転台数、測定の時間帯をそろえます。

漏れ検知液と超音波の検知器は、どちらから始めるとよいですか

手が届き、液剤を安全に使える継手などは、材質に適合した漏れ検知液で確認できます。泡で場所が特定でき、比較的低コストで始められます。微小な漏れ、広い範囲、運転中で止められない設備、天井配管のように手が届かない場所には超音波の検知器が向きます。

特定事業者に指定されていなければ、点検しなくてよいですか

届出や定期報告の義務はありません。それでも漏れた分の電気代は同じように発生します。指定の有無は行政への報告義務の話であり、電気代が減るかどうかとは別の軸です。

まとめ

  • エア漏れの点検は、省エネ法の判断基準で管理標準を決めて定期的に行う項目として書かれている
  • 量は工場停止日にコンプレッサだけを運転し、加圧していた時間の割合(ロード率)で測る
  • ロード中の消費電力×停止日のロード率×年間の系統運用時間で簡易試算し、明細から取った実効単価で金額に直す
  • 漏れの点検は、継手、ホース、電磁弁、ドレン排出器、使っていないラインから始める
  • 塞ぐのと並行して、工場全体に送っている圧力が高すぎないかを用途ごとに確かめる
  • #省エネ
  • #コンプレッサ
  • #エア漏れ
  • #電気代

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株式会社恒電社 編集部

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