設備がどれだけ有効に使えているかは、1つの数字で表せます。それが「OEE(設備総合効率)」です。ここでは、その求め方と読み方を整理します。
OEEは、設備が止まっている時間、遅い運転、不良の3つを1つの数字にまとめた指標です。「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」という3つの割合を掛け合わせて求めます。数字を1つ出す前に、まずやるべきことがあります。何が効率を下げているのかを分けて記録することが出発点です。
OEEは掛け算のため、どれか1つの要素が低いだけで全体の数値は大きく下がります。逆に言えば、どれがOEEを大きく下げているかが分かれば、改善の優先順位を検討する材料になります。
取り上げるのは、OEEの計算式と3要素の意味、停止理由の記録の粒度、数値の読み方の注意点、改善の順番です。情報のもとにしたのは、公的な統計と、JIS(日本産業規格)Z 8141:2022を紹介する民間の解説情報です。
設備総合効率は「時間稼働率×性能稼働率×良品率」の掛け算
OEEは、負荷時間(設備を動かす計画だった時間)のうち、どれだけ良品を計画どおりの速度で生産できたかを表す指標です。3要素に分けて計算し、最後に掛け合わせます。
←→ 横にスクロールできます
| 要素 | 何の影響を表すか | 求め方 |
|---|---|---|
| 時間稼働率 | 故障・段取りなどで設備が止まっていた時間の影響 | 実稼働時間÷負荷時間×100 |
| 性能稼働率 | 決めた速度どおりに動いていたかの影響 | 基準サイクルタイム×生産数量÷実稼働時間×100 |
| 良品率 | 不良・手直しの影響 | 良品数量÷生産数量×100 |
例えば時間稼働率88%・性能稼働率82%・良品率97%の設備なら、OEEは0.88×0.82×0.97≒0.70で約70%です。各要素が9割前後でも、掛け合わせると7割程度まで下がります。
JIS Z 8141:2022を紹介する、民間の規格解説サイトがあります。そのサイトの用語番号6501には、次のような注記が紹介されています。
停止ロスの大きさは時間稼働率で、性能ロスの大きさは性能稼働率で、不良ロスの大きさは良品率で、それぞれ示すという内容です。日本規格協会が発行する規格の原本までは、編集部で確認していません。3つに分ける見方は、この整理と一致します。
データの取り方——止まった理由をどこまで細かく記録するか
OEEを求めるには、負荷時間・停止時間・生産数量・良品数量に加え、性能稼働率を計算するための基準サイクルタイムが要ります。つまずきやすいのは、停止理由の粒度です。「トラブル」「その他」と大ざっぱにまとめると、どこから手をつけるべきか分からなくなります。
停止・遅れ・不良として現れる設備効率上のロスは、大きく7つの分類に整理されています。どの要素に反映するかは自社の計算ルールで決めるもので、以下は分類例です。立上がり時の不良のように複数の要素にまたがる場合は、記録内容に応じて分けます。
表にある刃具〈はぐ〉は、切削加工に使う工具(刃物)のことです。
←→ 横にスクロールできます
| ロスの分類 | 主に反映する要素の例 | 現場での記録例 |
|---|---|---|
| 故障 | 時間稼働率 | 発生時刻・復旧時刻・故障箇所 |
| 段取り・調整 | 時間稼働率 | 段取り開始から再稼働までの経過時間 |
| 刃具交換 | 時間稼働率 | 交換の頻度と1回あたりの所要時間 |
| 立上がり | 性能稼働率 | 起動から安定運転までの時間とその間の生産数量 |
| チョコ停・空転 | 性能稼働率 | 発生回数と1回あたりの停止時間 |
| 速度低下 | 性能稼働率 | 基準サイクルタイムとの差 |
| 不良・手直し | 良品率 | 不良数量と不良の種類 |
この7分類は、同サイトに掲載されたJIS Z 8141:2022の用語番号6114で紹介されています。すべてを秒単位で追う必要はありません。
まずは「開始時刻・終了時刻・7分類のどれに当たるか」を書き残す粒度から始めます。影響が大きい分類が見えてきた段階で、その分類だけ細かく記録する順番が現実的です。

数値の読み方と落とし穴——100%を一律の目標にしない
OEEは0〜100%で表されます。3つの要素すべてについて、100%を一律の目標にする必要はありません。むしろ、どこにロスが集中しているかを見つけるための物差しとして使うほうが実務的です。
保全の分野では「世界クラス基準は85%程度」という数値がしばしば語られます。これはTPM(全員参加の生産保全)の考え方の中で目安として広まったものです。
ただし公的な統一基準ではなく、業種・工程・設備の種類によって当てはまり方が変わります。目標値をそのまま採用するより、自社の過去の数値と比較して伸びているかを見る使い方のほうが、現場の実態に合います。
もう一つ紛らわしいのが「稼働率」という言葉です。経済産業省が毎月公表している鉱工業指数には「稼働率指数」という系列がありますが、OEEの時間稼働率とは対象も算出方法も異なります。経済産業省「鉱工業指数」統計の概要で、その違いを確認できます。
←→ 横にスクロールできます
| 用語 | 何を求める数値か | 対象 |
|---|---|---|
| 経済産業省「稼働率指数」 | 「生産量と生産能力の比から求めた指数」 | 品目ごとの生産能力に対する生産数量の比率 |
| OEEの時間稼働率 | 実稼働時間÷負荷時間×100 | 個々の設備の負荷時間に対する実稼働時間 |
朝会で「稼働率」という言葉が出たら、どちらの意味かを確認してください。それで話がかみ合います。
改善の優先順位——大きいロスを起点に検討する
数値を出した後の進め方は、次のような順番が基本です。優先順位は、ロスの大きさだけで決めません。安全性、品質への影響、対策費、実現できるかどうかも含めて判断します。
- 記録する:まずは例えば2〜4週間を目安に、停止・遅れ・不良を7分類のどれかに割り当てて記録する
- 大きいロスを特定する:発生回数ではなく、時間または数量への影響の大きさで比べる
- 対策の型を選ぶ:故障が大きければ点検周期の見直し、段取り・調整が大きければ内段取りと外段取りの分離、不良が大きければ工程条件の管理というように、ロスの分類に応じた対策を選ぶ
- 効果を金額の物差しに置き換える:改善で生まれた時間を賃金換算するなどして、ほかのロスへの対策と比較できる形にする
段取り・調整の時間の短縮そのものの進め方は、外段取り・内段取りとは?段取り時間を短縮する4つの手順と金額換算で扱っています。7分類の中で段取り・調整が大きいと分かった場合は、そちらの手順も対策を検討するときの参考にしてください。
時間稼働率の改善でも、時間は生まれます。その時間も賃金換算すれば、ほかのロスへの対策と比較しやすくなります。
厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」(2026年2月25日公表)によると、次の実績でした。製造業(事業所規模5人以上・就業形態計)の1人平均月間現金給与総額は430,282円です。1人平均月間総実労働時間は155.5時間でした(厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」)。
月間の給与総額を月間の労働時間で割ってください。1時間あたりの賃金の目安になります。
設備の負荷時間に、時間稼働率が何ポイント改善したかを掛けて100で割ってください。1日あたりに生まれる追加の生産可能時間がわかります。
負荷時間480分の設備で、時間稼働率が5ポイント改善したとします。480分×5%=24分/日の停止時間が、生産可能時間に変わります。月20日稼働なら、24分×20日=480分(8時間)/月です。
仮に、設備の追加の生産可能時間1時間が、作業者1人の労働時間1時間に対応すると置いてみます。その場合、8時間×約2,770円≒約2.2万円/月、年換算で約26.6万円です。
これは、設備の時間を比べるために賃金の単価へ置き換えた試算です。実際の人件費削減額ではありません。1台に関わる作業者の人数や、拘束時間が実際に減るかどうかで、対応する関係が変わります。なお2,770円は賃金の部分の概算で、法定福利費や、設備が止まったことによる機会損失は含みません。
この金額がそのまま利益になるとは限りません。増産による効果は、空いた時間で生産数量が増え、それが販売できて初めて売上や利益に結びつきます。増産の見込みがない工程でも、拘束時間が減る場合は、配置の見直しや残業を減らすことの検討材料になり得ます。

OEEは3つの割合の掛け算であり、どれか一つを直そうとする前に、まず各要素がOEEに与えている影響を数字で確認する。
— 編集部による要約
設備の稼働を高めて生産数量が増えると、使用する電力量や最大の需要電力が変わることがあります。契約電力の考え方は契約電力はどう決まる?デマンド監視装置で工場の基本料金を下げる現場手順にまとめています。生産性まわりの論点は生産性・省人化のテーマ一覧にまとめています。
よくある質問
OEEは何%を目指せばよいですか
業種・工程・設備の種類で当てはまり方が変わるため、公的な統一目標値はありません。「世界クラス基準85%」のような目安をそのまま採用するより、自社の同じ設備の過去の数値と比較し、どの分類のロスが増減したかを追う使い方が実務的です。
稼働率とOEEの時間稼働率は同じ意味ですか
異なります。経済産業省の「稼働率指数」とOEEの「時間稼働率」の違いは、本文中の比較表で示したとおりです。対象の範囲も算出方法も別のものなので、社内で「稼働率」という言葉が出たら、どちらの意味かを確認します。
停止理由の記録はどこまで細かくすればよいですか
最初から秒単位で全ロスを追う必要はありません。まずは開始時刻・終了時刻・7分類のどれに当たるかを書き残せる粒度から始めます。数週間分の記録で影響の大きい分類が見えてきたら、その分類だけ発生した条件や原因になった設備を細かく記録して、対策の精度を上げます。
まとめ
- OEE(設備総合効率)は時間稼働率×性能稼働率×良品率の掛け算で、どれか一つが低いと全体が大きく下がる
- 停止・遅れ・不良は故障・段取り調整・刃具交換・立上がり・チョコ停空転・速度低下・不良手直しの7分類に仕分けて記録し、どの要素に主に反映するかを自社ルールとして決めておく
- OEEの目標値は一律に100%と置くのではなく、自社の設備特性や過去値を踏まえて設定する
- 経済産業省の「稼働率指数」とOEEの「時間稼働率」は対象も算出方法も異なる別の指標である
- 大きいロスを起点に、安全性・品質・対策費も踏まえて対策の型を選び、時間稼働率の改善分は賃金換算するなどしてほかの対策と比較できる形にする
この記事の確認方法
株式会社恒電社 編集部
法令・告示・公的統計・白書など、国や行政が公表している原典にあたり、出典・前提条件・数字の扱いを編集部で確認しています。