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OEE(設備総合効率)とは?計算式の3要素とデータの取り方・使い方

OEEとは、時間稼働率・性能稼働率・良品率の掛け算です。計算式の意味、停止理由の記録の仕方、数値の読み方の注意点を整理します。

OEEとは3つの割合の掛け算で見る、と大きく示し、下段に濃緑の縦棒2本とオレンジの縦棒1本が×でつながる図版を配したサムネイル画像
18生産性・省人化

OEE(設備総合効率)は、設備が止まっている時間、遅い運転、不良の3つを1つの数字にまとめた指標です。「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」という3つの割合を掛け合わせて求めます。数字を1つ出す前に、まず何が効率を下げているのかを分けて記録することが出発点になります。

OEEは掛け算のため、どれか1つの要素が低いだけで全体の数値は大きく下がります。逆に言えば、どれがOEEを大きく下げているかが分かれば、改善の優先順位を検討する材料になります。

ここでは、OEEの計算式と3要素の意味、停止理由の記録の粒度、数値の読み方の注意点、改善の順番を、公的統計とJIS Z 8141:2022の民間解説情報をもとに整理します。

設備総合効率は「時間稼働率×性能稼働率×良品率」の掛け算

OEEは、負荷時間(設備を動かす計画だった時間)のうち、実際にどれだけ良品を計画どおりの速度で生産できたかを表す指標です。3要素に分けて計算し、最後に掛け合わせます。

設備総合効率=時間稼働率×性能稼働率×良品率(いずれも0〜1の比率として掛け合わせる)

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要素何の影響を表すか求め方
時間稼働率故障・段取りなどで設備が止まっていた時間の影響実稼働時間÷負荷時間×100
性能稼働率決めた速度どおりに動いていたかの影響基準サイクルタイム×生産数量÷実稼働時間×100
良品率不良・手直しの影響良品数量÷生産数量×100

例えば時間稼働率88%・性能稼働率82%・良品率97%の設備なら、OEEは0.88×0.82×0.97≒0.70で約70%です。各要素が9割前後でも、掛け合わせると7割程度まで下がります。

JIS Z 8141:2022を紹介する民間の規格解説サイトの用語番号6501には、設備効率を阻害する停止ロスの大きさを時間稼働率、性能ロスの大きさを性能稼働率、不良ロスの大きさを良品率で示す、という注記が紹介されています(日本規格協会発行の規格原本は本記事では未確認)。3つに分ける見方は、この整理と一致します。

補足:負荷時間に休憩・朝礼・計画停止を含めるかは工場によって扱いが分かれます。月をまたいで比べるときは、まず自社の定義を一本化してから記録します。

データの取り方——止まった理由をどこまで細かく記録するか

OEEを求めるには、負荷時間・停止時間・生産数量・良品数量に加え、性能稼働率を計算するための基準サイクルタイムが要ります。つまずきやすいのは、停止理由を「トラブル」「その他」と大ざっぱにまとめ、どこから手をつけるべきか分からなくなることです。

停止・遅れ・不良として現れる設備効率上のロスは、大きく7つの分類に整理されています。どの要素に反映するかは自社の計算ルールで決めるもので、以下は分類例です。立上がり時の不良のように複数の要素にまたがる場合は、記録内容に応じて分けます。

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ロスの分類主に反映する要素の例現場での記録例
故障時間稼働率発生時刻・復旧時刻・故障箇所
段取り・調整時間稼働率段取り開始から再稼働までの経過時間
刃具交換時間稼働率交換の頻度と1回あたりの所要時間
立上がり性能稼働率起動から安定運転までの時間とその間の生産数量
チョコ停・空転性能稼働率発生回数と1回あたりの停止時間
速度低下性能稼働率基準サイクルタイムとの差
不良・手直し良品率不良数量と不良の種類

この7分類は、同サイトに掲載されたJIS Z 8141:2022の用語番号6114で紹介されています。すべてを秒単位で追う必要はなく、まずは「開始時刻・終了時刻・7分類のどれに当たるか」を書き残す粒度から始め、影響が大きい分類が見えてきた段階で、その分類だけ細かく記録する順番が現実的です。

OEEを時間稼働率・性能稼働率・良品率の3要素として示し、故障・段取り調整・刃具交換・立上がり・チョコ停空転・速度低下・不良手直しの7つのロス分類を自社の計算ルールに基づいて各要素へ反映する例を示した図
図1 7つのロス分類を3要素へ反映する自社ルールの例
注意:同サイトのJIS Z 8141:2022(用語番号6108)は、短時間に回復する小故障「チョコ停」と、大規模な仕組み全体を長期間止める大故障「ドカ停」を呼び分けています。頻度は少なくても影響が大きいドカ停と、頻度は多いが1回は短いチョコ停を同じ欄にまとめると、対策の優先順位を誤ります。

数値の読み方と落とし穴——100%を一律の目標にしない

OEEは0〜100%で表されますが、3つの要素すべてについて、100%を一律の目標にする必要はありません。むしろ、どこにロスが集中しているかを見つけるための物差しとして使うほうが実務的です。

保全の分野では「世界クラス基準は85%程度」という数値がしばしば語られます。これはTPM(全員参加の生産保全)の考え方の中で目安として広まったもので、公的な統一基準ではなく、業種・工程・設備の種類によって当てはまり方が変わります。目標値をそのまま採用するより、自社の過去の数値と比較して伸びているかを見る使い方のほうが、現場の実態に合います。

補足:負荷時間の定義(計画停止を含むかどうか等)が月によって揺れると、OEEの数値も上下します。改善効果を語る前に、比較する月同士で同じ定義を使っているかを確認します。

もう一つ紛らわしいのが「稼働率」という言葉です。経済産業省が毎月公表している鉱工業指数には「稼働率指数」という系列がありますが、OEEの時間稼働率とは対象も算出方法も異なります。経済産業省「鉱工業指数」統計の概要によると、稼働率指数は「生産量と生産能力の比から求めた指数」で、品目ごとに生産能力に対する実際の生産数量の比率を求め、指数化した統計です。個々の設備の負荷時間に対する実稼働時間を求めるOEEの時間稼働率とは別の指標のため、朝会で「稼働率」が出たときはどちらの意味か確認すると話がかみ合います。

改善の優先順位——大きいロスを起点に検討する

数値を出した後の進め方は、次の順番が基本です。実際の優先順位は、ロスの大きさに加え、安全性、品質への影響、対策費、実現可能性も含めて判断します。

  1. 記録する:まずは例えば2〜4週間を目安に、停止・遅れ・不良を7分類のどれかに割り当てて記録する
  2. 大きいロスを特定する:発生回数ではなく、時間または数量への影響の大きさで比べる
  3. 対策の型を選ぶ:故障が大きければ点検周期の見直し、段取り・調整が大きければ内段取りと外段取りの分離、不良が大きければ工程条件の管理というように、ロスの分類に応じた対策を選ぶ
  4. 効果を金額の物差しに置き換える:改善で生まれた時間を賃金換算するなどして、他のロスへの対策と比較できる形にする

段取り・調整の時間短縮そのものの進め方は、外段取り・内段取りとは?段取り時間を短縮する4つの手順と金額換算で扱っています。7分類の中で段取り・調整が大きいと分かった場合は、そちらの手順も対策を検討する際の参考にできます。

時間稼働率の改善で生まれる時間も、賃金換算すれば他のロスへの対策と比較しやすくなります。厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」(2026年2月25日公表)によると、製造業(事業所規模5人以上・就業形態計)の1人平均月間現金給与総額は430,282円、1人平均月間総実労働時間は155.5時間でした(厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」)。

430,282円 ÷ 155.5時間 ≒ 2,770円/時間(製造業の1人1時間当たり賃金の概算)
負荷時間(分)× 時間稼働率の改善幅(ポイント)÷ 100 = 1日あたりに生まれる追加の生産可能時間(分)

負荷時間480分の設備で時間稼働率が5ポイント改善したとします。480分×5%=24分/日の停止時間が生産可能時間に変わり、月20日稼働なら24分×20日=480分(8時間)/月です。仮に設備の追加生産可能時間1時間が作業者1人の労働時間1時間に対応すると置けば、8時間×約2,770円≒約2.2万円/月、年換算で約26.6万円です。これは設備時間を比較用に賃金単価へ置き換えた試算で、実際の人件費削減額ではありません。1台に関わる作業者数や、拘束時間が実際に減るかで対応関係は変わります。なお2,770円は賃金部分の概算で、法定福利費や設備停止による機会損失は含みません。

この金額がそのまま利益になるとは限りません。増産による効果は、空いた時間で生産数量が増え、それが販売できて初めて売上や利益に結びつきます。増産の見込みがない工程でも、拘束時間が減る場合は配置の見直しや残業削減の検討材料になり得ます。

430,282円を155.5時間で割って1時間当たり賃金2,770円を求め、負荷時間480分に時間稼働率の改善幅5ポイント(5÷100)を掛けた24分と稼働日数20日から月8時間、年約26.6万円の賃金換算値を導く計算の流れを示した図(作業者1人・設備時間と労働時間が1対1と仮定した試算)
図2 時間稼働率の改善分を賃金の物差しで金額に置き換える(作業者1人・1対1の仮定)
OEEは3つの割合の掛け算であり、どれか一つを直そうとする前に、まず各要素がOEEに与えている影響を数字で確認する。

— 編集部による要約

設備の稼働を高めて生産数量が増えると、使用電力量や最大需要電力が変わることがあります。契約電力の考え方は契約電力はどう決まる?デマンド監視装置で工場の基本料金を下げる現場手順で整理しています。生産性まわりの論点は生産性・省人化のテーマ一覧にまとめています。

よくある質問

OEEは何%を目指せばよいですか

業種・工程・設備の種類で当てはまり方が変わるため、公的な統一目標値はありません。「世界クラス基準85%」のような目安をそのまま採用するより、自社の同じ設備の過去の数値と比較し、どの分類のロスが増減したかを追う使い方が実務的です。

稼働率とOEEの時間稼働率は同じ意味ですか

異なります。経済産業省の「稼働率指数」は、品目ごとの生産能力に対する生産実績の比率をもとに指数化した統計です。一方、OEEの時間稼働率は、個々の設備の負荷時間に対する実稼働時間を求める指標です。対象の範囲も算出方法も別のものなので、社内で「稼働率」という言葉が出たら、どちらの意味かを確認します。

停止理由の記録はどこまで細かくすればよいですか

最初から秒単位で全ロスを追う必要はありません。まずは開始時刻・終了時刻・7分類のどれに当たるかを書き残せる粒度から始めます。数週間分の記録で影響の大きい分類が見えてきたら、その分類だけ発生条件や原因設備を細かく記録し、対策の精度を上げます。

まとめ

  • OEE(設備総合効率)は時間稼働率×性能稼働率×良品率の掛け算で、どれか一つが低いと全体が大きく下がる
  • 停止・遅れ・不良は故障・段取り調整・刃具交換・立上がり・チョコ停空転・速度低下・不良手直しの7分類に仕分けて記録し、どの要素に主に反映するかを自社ルールとして決めておく
  • OEEの目標値は一律に100%と置くのではなく、自社の設備特性や過去値を踏まえて設定する
  • 経済産業省の「稼働率指数」とOEEの「時間稼働率」は対象も算出方法も異なる別の指標である
  • 大きいロスを起点に、安全性・品質・対策費も踏まえて対策の型を選び、時間稼働率の改善分は賃金換算するなどして他の対策と比較できる形にする
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  • #設備総合効率
  • #生産性
  • #7大ロス

編集確認

株式会社恒電社 編集部

製造業の電気設備・自家消費型太陽光の現場に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。

読んだあと、実行へ

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