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外段取り・内段取りとは?段取り時間を短縮する4つの手順と金額換算

外段取りと内段取りを分ける基準から、1回分の記録・改善の順番・時間短縮の金額換算までを公的資料で整理する。

「段取り時間 内段取りと外段取りを分ける」の文字と、開いた工作機械から金型を吊り上げる図、内外に分かれたタイムラインの図
13生産性・省人化

段取り替えの時間を短くする取り組みは、作業を「機械を止めないとできないもの」と「機械を止めずにできるもの」に分けることから始めます。前者を内段取り、後者を外段取りと呼びます。手を速く動かす前に、機械が止まっている時間そのものを減らすほうが先です。

多品種小ロット化が進むと、1回あたりの時間が同じでも回数が増えるぶん、止まっている時間は積み上がります。

ここでは、内段取りと外段取りの分け方、1回分を記録して分解する手順、改善に手を入れる順番、短くなった時間を金額に置き換える見方までを、公的資料をもとに整理します。

分ける基準は「機械が止まっているか」だけ

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業向け情報サイトのビジネスQ&Aは、外段取り作業を「機械を停止しないで機械の外で行う段取り作業」、内段取り作業を「機械を停止して行う段取り作業」と説明しています(中小企業基盤整備機構 J-Net21「ムダのない段取り改善の方法について教えてください。」・2026年8月時点)。

判断の基準はこれだけです。その作業をしている間に機械が止まっているかどうかで仕分けます。金型や治具を機械の脇まで運ぶ、次の材料を台車に載せておく、加工条件表と図面を手元に出しておく——こうした作業は、担当者・作業場所・安全・工具や材料の準備といった条件を確保できれば、機械が動いている間に行えます。

現場では、この区別が入らないまま「段取りに30分かかる」と一括りに語られがちです。区別を入れると、減らせる部分と当面は減らせない部分が分かれます。

補足:段取り時間の定義は工場によって違います。どの置き方を採るにせよ、社内で一本化してから測ります。

改善案を出す前に、1回分をそのまま記録する

前掲のビジネスQ&Aは、段取り改善を段取り時間の現状把握、段取り作業の区分わけ、お金のかからない改善、少しお金と時間がかかる改善、お金と時間がかかる改善という5つのステップで進めるものとして示しています。順番を飛ばして治具や設備の話から入ると、費用をかけずに改善できる部分まで設備投資の対象にしてしまう可能性があります。

動画で残し、作業者と一緒に見る

ストップウォッチと紙だけでは、後から「なぜその動きが必要か」を確認できません。作業者の手元と機械が同じ画面に入る位置にカメラを固定し、段取りの開始から最初の良品が出るまで撮ります。撮ったものは本人と一緒に見て、動きの理由を聞き取ります。

作業要素に分けて4列の表にする

動画を見ながら、作業を10〜30秒程度の要素に分けて書き出します。表は次の4列で足ります。

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作業要素内/外所要時間機械が止まる理由
金型を工具室から運ぶ4分運搬中は機械が空いている
取付ボルトを緩めて外す3分機械を開けないとできない
寸法を測って位置を調整する12分試し打ちと測定を繰り返す
次の材料を台車に載せる5分機械は動いたままでよい

表の数字は書き方を示す例です。実際には自社の1回分を入れます。作業がすべて直列に行われていれば、内に仕分けた行の合計がおおむね機械の停止時間になります。複数人が並行して作業する場合は工数を単純合計せず、停止の開始から再稼働までの経過時間を別に記録します。

動画で記録・要素に分ける・内と外に仕分けるの3ステップと、作業要素・内外・所要時間・止まる理由の4列表(金型を運ぶ/寸法を調整する/材料を台車に載せる、の記入例)を示した図
図1 1回分を記録して作業要素に分け、内と外に仕分ける

手を入れる順番は4つ

仕分けた表を前に、次の順を基本として検討します。必要な費用や実施の難しさは、設備・治具・生産条件によって前後します。

  1. 外へ出す:運搬・準備・後片付けなど、機械が動いている間にできる作業を外段取りへ移す
  2. 内のまま短くする:使う工具を1種類に揃える、締結箇所を減らす、置き場を手の届く位置に固定する
  3. 調整をなくす:測って直す作業をやめ、位置決めピンやストッパーで一度で決まる形にする
  4. 段取りそのものを減らす:同じ治具で流せる品目をまとめる、生産計画の並べ方を見直す

記録を取ったら、調整に要している時間とそのばらつきを確認します。運搬や締結は所要時間が読めますが、試し打ちと測定を繰り返す工程では調整回数によって変動します。調整に長い時間を使っている場合は、位置決め方法を見直して調整回数を減らすことが短縮策の候補になります。

「シングル段取り」は、段取り時間を一桁の分に収めることを目標として掲げる考え方です。一桁の分を目標にする場合も、先に現状を記録し、外へ出せる作業を洗い出したうえで、実現可能な目標を設定します。

注意:段取り作業の変更は安全と品質に直結します。型の固定方法、落下防止、試し打ちの検査条件を変えるときは、設備保全と品質保証の担当者を交えて確認し、作業手順書と危険予知活動の内容も更新します。

短くなった時間を金額の物差しに載せる

改善を続けるには、削れた時間が何円分にあたるかを、誰が見ても同じ数字になる形にしておくと話が早くなります。厚生労働省「毎月勤労統計調査」の2025年分結果確報(2026年2月25日公表)によると、製造業(事業所規模5人以上・就業形態計)の1人平均月間現金給与総額は430,282円、1人平均月間総実労働時間は155.5時間でした(厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」)。

430,282円 ÷ 155.5時間 ≒ 2,770円/時間(製造業の1人1時間当たり賃金の概算)

これは全国平均から求めた概算で、含まれるのは賃金部分だけです。法定福利費や、機械が止まっていたことによる機会損失は入っていません。自社データがない段階の参考値として使い、投資判断の段階では対象作業者に対応する自社の人件費データへ置き換えます。

作業時間の削減量(時間)× 実際に作業時間が減った人数 × 段取り回数 × 時間当たり賃金(円)= 賃金換算した労働時間削減効果(円相当)

段取りに関わる3人全員の作業時間が1回あたり30分減り、その機械で月40回段取りがあるとします。0.5時間 × 3人 × 40回 = 月60人時、これに2,770円を掛けると月あたり約16.6万円、年約199万円の賃金換算値になります。残業・人員・外注費が実際に減らない限り、この金額がそのまま現金支出の削減になるわけではありません。

治具の新調に数十万円かかる場合は、この賃金換算値を投資判断の一材料にできます。実際の判断では、導入・保全の費用、安全と品質への影響、効果が続く期間、残業削減や増産に結び付くかも併せて確認します。

月間現金給与総額を月間総実労働時間で割って1時間当たり賃金を求め、短縮時間・人数・回数を掛けて金額に換算する計算の流れを示した図
図2 短縮した時間を賃金の物差しで金額に置き換える
補足:効果の出方は、空いた人が別の作業に回る形と、機械の稼働時間が増える形に分かれます。どちらで回収するかを先に決めておくと、後から効果を測るときに数字が揃います。
段取り改善では、機械が止まっていた時間の短縮を中心に、作業工数、最初の良品が出るまでの時間、不良、安全への影響も併せて測る。

— 編集部による要約

費用のかかる改善に進む前に確認すること

通常は、現状把握と費用の小さい改善を行った後に、治具の新調、型交換の自動化、設備更新を検討します。ただし、安全・法令・品質上の問題がある場合は、必要な対策を優先します。ここまでの記録があれば、何分を何円で買うのかを説明できます。

経済産業省・厚生労働省・文部科学省が2026年5月29日に公表した2026年版ものづくり白書は、複数の工作機械の加工機能を1台に集約した工程集約型加工機について、工程数を削減することで製造ライン全体の自動化・省人化を進めやすくなり、製造業の人手不足対策として有効であるとしています(経済産業省「2026年版ものづくり白書」)。

同白書の概要は、収益力の高い企業は省力化・省人化投資などに積極的であり、我が国の労働生産性は主要国と比べ低い水準にあるとも整理しています。工程集約によって工程間の切替えが減る設備構成では、段取り回数の削減にもつながる可能性があります(同白書の工程数削減に関する記述を段取り改善の観点から整理したもの)。

費用の一部に公的な支援制度を充てられる場合もあります。中小企業省力化投資補助金には、カタログ掲載の汎用製品から選ぶ「カタログ注文型」と、個別の現場に合わせた設備導入やシステム構築を対象とする「一般型」の2類型があります(中小企業省力化投資補助金 公式サイト・2026年8月時点)。対象要件・補助率・上限額・公募期間は類型や公募回で異なるため、申請を検討する段階で該当類型の最新の公募要領を確認します。

段取りの進め方が変わると、設備を止めて立ち上げるタイミングも変わります。契約電力はどう決まる?デマンド監視装置で工場の基本料金を下げる現場手順で扱っている見方は、生産性改善に伴って最大需要電力が上がる可能性がないかを確認する材料になります。電気料金のうち現場で動かせない単価要因は再エネ賦課金と燃料費調整額。工場の電気料金明細を4つの項目で読むで整理しています。生産性まわりの論点は生産性・省人化のテーマ一覧にまとめています。

よくある質問

段取り時間はどこからどこまでを数えるのが適切ですか

社内で一本化されていれば比較はできますが、使いやすいのは、前の品目の最後の良品ができた時点から、次の品目の最初の良品ができた時点までを数える方法です。調整と試し打ちを含む、良品生産の切替えに要した経過時間を把握できます。

内段取りを外段取りに移すだけで時間は減りますか

外段取りを機械の稼働中に完了できれば、機械が止まっている間に行う作業を減らせます。ただし、担当者・作業場所・工具・材料の準備が確保できることが条件で、複数の作業を並行している場合は、外へ移した作業時間と同じだけ停止時間が短くなるとは限りません。作業そのものが消えるわけではないため、外段取りを担当できる人の手が空いていない工場では、人の配置も同時に見直します。前掲の5ステップでも区分わけの次にお金のかからない改善が置かれており、区分わけは出発点です。

段取り回数が多く、1回ずつ記録する余裕がありません

全品目の記録は難しいため、段取り回数や停止時間が多い機械を1台選び、条件の異なる代表品目から記録を始めます。ほかの品目へ展開するときは、治具・調整・検査条件の違いを改めて確認します。

まとめ

  • 段取り作業は「その間に機械が止まっているか」で内段取りと外段取りに仕分ける
  • 改善案より先に1回分を動画で記録し、作業要素・内/外・所要時間・止まる理由の4列に分解する
  • 手は「外へ出す→内のまま短くする→調整をなくす→段取りそのものを減らす」の順に入れる
  • 短くなった時間は時間当たり賃金で換算し、現金支出の削減とは区別したうえで次の判断につなげる
  • 費用のかかる改善は後に回す(安全・法令・品質の問題があるときは先に対策する)。公的な支援制度は要件が類型・公募回で変わるため公募要領で確認する
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編集確認

株式会社恒電社 編集部

製造業の電気設備・自家消費型太陽光の現場に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。

読んだあと、実行へ

生産性改善の候補を、工程と作業の流れから整理します。

停止・待ち・移動・段取りを切り分け、改善の優先順位を考えるための相談導線です。詳細は今後更新します。

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