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動力プレスの点検|始業前と年次検査の違い、資格・記録を確認する

動力プレスの始業前点検と年次の特定自主検査を、項目・資格・記録で整理。2026年の検査基準、異常時の措置、長期休止後の再使用も確認します。

プレス点検と始業前・年次を分けるという見出しを載せた図版
75設備保全

動力プレスは、モーターなどで金型を動かし、材料を成形・加工する機械です。自社で使っている場合は、その日の作業開始前点検と、資格者による年次の特定自主検査を分けて管理します。特定自主検査は、所定の資格者または登録検査業者が行う検査です。

二つの点検・検査は、項目・担当できる人・記録の扱いが異なります。2026年10月時点の労働安全衛生規則と特定自主検査基準をもとに、台帳と手配で確認する内容を説明します。形式ごとの検査方法と判定は、告示と機械の資料で確認してください。

作業開始前点検と年次検査を、時点・資格・記録で分ける

二つを区別するのは、実施時点、確認する範囲、資格、記録です。朝の点検で年次検査を代えることも、年次検査済みを理由に作業開始前点検を省くこともできません。

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区分いつ、何を見るか担当・記録
作業開始前の点検その日の作業前。クラッチ・ブレーキ、停止機構、危険防止機構、金型などの状態を見る事業者が実施する。第136条は年次検査と同じ3年間の記録保存を定めていない
定期自主検査1年以内ごとに1回。動力伝達、制御、空圧・油圧、電気系統などの異常を調べる動力プレスでは特定自主検査に当たり、所定の資格者または登録検査業者が実施する。記録は3年間保存する

根拠は厚生労働省の労働安全衛生規則第134条の3、第135条の2・3、第136条です。第134条の3には、1年を超える不使用期間の例外と再使用時の検査もあります。休止設備は前回の検査日だけで再稼働を決めないでください。

設備の区分:材料を切断する動力シャーにも作業開始前点検があります。ただし、年次検査の根拠は第135条です。動力プレスの特定自主検査と一括せず、台帳で機種を分けます。

始業前は、停止機構と危険防止機構を確認する

始業前は、機械が止まるか、危険を防ぐ機構が働くかから確認します。第136条の六事項には、プレス向けとシャー向けがあります。機種に合う項目を選び、装備の名称は取扱説明書と照合してください。

  1. 動力をつなぐクラッチと、動きを止めるブレーキが機能するか確認します。
  2. クランクシャフト、フライホイール、金型を動かすスライドなどのボルトに緩みがないか確認します。
  3. 一行程一停止、急停止、非常停止の機構が機能するか確認します。一行程一停止は、加工の一行程ごとに停止する機構です。
  4. スライドや刃物による危険を防ぐ機構が機能するか確認します。
  5. プレスでは、金型とボルスターの状態を確認します。ボルスターは金型を載せる台です。
  6. シャーでは、刃物と材料を載せるテーブルの状態を確認します。

設備別の点検表には、六項目をそのままコピーせず、機種と装備に合うものを入れます。安全装置と制御の仕様は機械ごとに違います。現場と保全の担当者で、取扱説明書に沿って、どの操作で異常を確認するか決めてください。

第137条は、異常があれば補修など必要な措置を講じることを求めています。そのまま始業せず、発見時刻・設備番号・症状・使用を止めたか・補修後の確認を残すと、次の担当者へ引き継げます。この記録は現場管理の提案で、第135条の2の3年保存義務とは別です。

非常停止の働きに違和感があった日は、点検済みの印だけで作業を進めません。症状が出た操作を保全担当者へ伝え、必要な措置の後に使用可否を判断します。交替勤務では、次の班が使う前に、異常と対応の状況を引き継ぎます。

記録は一枚の用紙でも、設備台帳と連絡記録に分けても構いません。異常を発見したことと、措置が完了したことを別々に追える形が大切です。

作業開始前の点検から異常時の確認、補修へ進む管理の流れ
図1 作業開始前点検から異常時の措置まで

年次検査は、資格者と機種に合う検査基準を確認する

第134条の3の定期自主検査は、第135条の3により特定自主検査に当たります。事業場内の所定の資格者か、登録検査業者が実施します。作業開始前点検の担当者を決めただけでは、年次の検査者を手配したことになりません。

年次の対象は、動力伝達装置、クラッチ・ブレーキ、停止機構、スライド、空圧・油圧、電気系統、ダイクッション、安全機構などです。ダイクッションは成形時に材料を押さえる装置です。検査方法と判定は、設備の構造ごとに確認します。

2026年1月1日から、厚生労働省告示第323号「動力プレス特定自主検査基準」が適用されています。機械プレスなどの区分別に検査方法と判定基準があります。以前の指針しか手元にない場合は、検査業者や社内資格者と現行告示を照合してください。

台帳には機種・製造番号・前回検査日・次回期限・検査者を記録します。手配前に資格または登録を確かめ、実施後は記録と検査標章を照合します。標章は検査年月を示すものです。厚生労働省の特定自主検査制度の説明でも、動力プレスが対象に挙げられています。

複数台ある場合は、設備名だけで依頼せず、台帳と現物の製造番号を照合します。停止予定日も依頼先に伝えてください。他機種の点検表を使う前に、現行告示のどの区分が当たるかを確認します。

検査後の指摘について、措置完了を確認する担当者も決めます。資格者が検査する仕事と、現場が修理の進捗を追う仕事を分けると、引き継ぎやすくなります。

前回の検査日、次回の期限、実施者の資格、記録と検査標章の四項目を並べた設備台帳の図
図2 年次検査を設備台帳で追う項目

検査年月日・方法・結果と、措置した内容を記録する

年次検査は、第135条の2の項目を記録し、3年間保存します。合否だけでなく、方法と補修の内容も確認してください。検査業者に依頼した場合は、実施者の氏名欄を業者名として扱う規定があります。

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記録する事項現場で照合するもの
検査年月日・方法・箇所対象設備と実施した検査が一致しているか
検査結果異常の有無と判定が追えるか
実施者の氏名または検査業者名資格・依頼先を特定できるか
補修等の措置内容検査結果に基づいて措置を講じた場合、その内容が記載されているか

異常があれば、第137条による補修など必要な措置を行います。保全担当者へ検査結果を渡し、修理・調整の完了を確認してから再使用を判断します。実施年月が分かる検査標章は、動力プレスの見やすい場所に貼ります。

外部の報告書を受け取ったら、設備番号・検査日・方法・箇所・結果・措置内容を照合し、台帳を更新します。足りない記録は実施者に確認してください。

補修が必要なら、生産予定と修理予定を関係者で共有します。今回の検査日から次の手配時期を決め、日々の点検とは別の期限表で管理します。

記録の区別:3年間保存する規定は、ここで扱う定期自主検査の記録に対するものです。作業開始前点検にも社内の記録表を使うと引き継ぎに役立ちますが、同じ保存義務があると説明しないでください。

第135条の2の六事項のうち、措置内容を記録するのは、検査結果にもとづいて補修などを行った場合です。「措置なし」と書く運用はできますが、条文がその書き方を求めているわけではありません。

設備台帳で日々の担当・年次の手配・再使用を管理する

設備を一台ずつ確認し、動力プレスとシャーに分けます。日々の点検担当と年次の手配担当を別欄に記録します。稼働予定と検査期限を重ね、依頼時期を決めてください。

日々の担当者には、確認箇所と異常時の連絡先、作業停止の判断を伝えます。保全担当者は安全装置などの型式と説明書を確認し、年次の担当者は前回記録・補修履歴・次回予定を引き継ぎます。この役割分担は運用提案で、法令が定める統一手順ではありません。

1年を超えて使っていないプレスを再稼働する場合は、通常の年次予定と分けて確認します。第134条の3が不使用期間と再使用時を定めているため、休止前の記録だけで稼働を決めないようにします。

再使用時の検査、修理、作業開始前点検は、別々に完了を確認します。休止中に設備の構成が変わった場合は、現行基準と取扱説明書を改めて照合します。

検査の管理表を他の設備にも広げるなら、機械ごとの条文と周期を分けてください。フォークリフトの年次点検とクレーンの年次点検では、対象機械や月次検査の有無が異なります。保全テーマの記事は設備保全のテーマ一覧から確認できます。

よくある質問

毎朝点検していれば年次検査は不要か

不要にはなりません。第136条の開始前点検と第134条の3の年次検査は別の義務なので、両方の実施を台帳で確認します。

開始前点検にも3年間の保存義務があるか

第135条の2の3年間保存は、定期自主検査の記録についての規定です。開始前点検を記録する場合は社内運用として扱い、同じ法定保存義務とは説明しません。

年次検査は作業者なら誰でもできるか

作業経験だけでは実施者になれません。第135条の3に定める資格者か登録検査業者が行うため、手配前に資格や登録を確認します。

長期休止した設備の再使用:1年を超えて使用しない動力プレスは、その不使用期間中に限り定期自主検査の例外です。再使用時には第134条の3第2項の検査が必要です。この検査も特定自主検査に当たり、資格者による実施、記録の3年保存、検査標章の規定が適用されます。

点検と検査の担当・期限・記録を分けて確認する

  • その日の作業前に点検し、異常があれば補修など必要な措置を行います。
  • 1年以内ごとの定期自主検査は特定自主検査で、所定の資格者または登録検査業者が実施します。
  • 年次検査の法定事項を記録して3年間保存し、検査標章も確認します。
  • 2026年の検査基準と設備構造を照合し、日々の担当と年次の手配担当を分けます。
  • #動力プレス
  • #特定自主検査
  • #設備保全
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株式会社恒電社 編集部

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