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工場の騒音はどこを測る?作業環境測定の対象と3つの管理区分、対策の順序

工場の騒音について、法令上の測定対象、A測定・B測定、3つの管理区分、設備・伝ぱ経路・保護具の対策順を整理します。

工場騒音の測定と管理区分を表す騒音計と工場の図
88設備保全

工場内の騒音を管理するときは、まず測定対象を確認します。次にA測定と必要時のB測定を行い、第I〜第III管理区分を判定します。判定後は音源、音の伝わる経路、作業者側の順に対策を検討し、効果を測り直すのが基本です。

ここで扱うのは、働く人の騒音ばく露を減らすための作業環境管理です。近隣への騒音を扱う騒音規制法の敷地境界基準とは、目的も測定場所も異なります。設備名だけで決めず、作業内容と屋内・屋外の別から確認してください。

最初に「法令8作業場」と「ガイドライン52作業場」を分ける

定期測定の法令義務があるのは、労働安全衛生規則第588条が挙げる屋内作業場です。第590条は、6か月以内ごとに1回、等価騒音レベルを測るよう定めています。設備や工程、作業方法を変えた場合も、遅滞なく測定が必要です。

対象は、圧縮空気で動く機械、金属の圧延、動力ハンマー、タンブラーなど8種類に分かれます。設備の呼び名が違っても、条文にある業務内容と実作業が一致するかを見ます。迷う場合は衛生管理者と所轄の労働基準監督署へ確認します。

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確認する区分位置付け工場での見方
安衛則588条の8作業場6か月以内ごとの定期測定が法令上必要設備名ではなく、列挙された業務内容で照合する
ガイドライン別表2の52作業場法令上の義務対象ではないが、85dB以上になりやすい作業場プレス、研削、切断、コンプレッサー運転、多数機械の集中使用などを確認する

厚生労働省の2023年改訂ガイドラインは、法令8作業場に加えて52作業場を対象にします。後者まで法令義務と説明するのは正確ではありません。一方で、法令義務がないことを騒音対策が不要という意味にも読み替えないでください。

別表2には、インパクトレンチ、研削盤、動力プレス、丸のこ盤、エアコンプレッサーなどが挙がります。多数の機械を集中して使う作業場も対象です。個別の設備だけでなく、同時運転したときの作業場全体を確認します。

自社の工程を確認する入口には、設備保全の記事をまとめた設備保全テーマページも使えます。温熱や機械安全など、騒音と同時に見たい作業環境の論点を分けて確認できます。

法令8作業場とガイドライン52作業場から屋内を選び、A測定と音源近接時のB測定へ進む図
対象作業場の位置付けを分けてから、屋内の測定方法を決めます。

A測定で面を見て、B測定で大きな音の作業位置を見る

屋内作業場では、作業場全体の状態をA測定で把握します。A測定は、縦と横を6m以下の間隔で区切った交点を測定点とし、床上1.2〜1.5mで測ります。測定は定常作業の時間帯に、1点当たり10分以上続けます。

等価騒音レベルとは、測定時間内に変動した音を、同じエネルギーを持つ一定の音として表す値です。瞬間的な最大音だけを拾う数値ではありません。通常運転、段取り、材料投入など、測定時の条件を残さないと次回比較が難しくなります。

測定計画では、測定対象の単位作業場所を確認します。隣の工程の音が入る場所や、扉の開閉で響き方が変わる場所も先に洗い出します。平常より機械が少ない時間だけを選ぶと、通常のばく露を評価できません。

B測定は、騒音源に近い位置で作業する場合に加えます。騒音レベルが最も大きくなると考えられる時間に、その作業位置で測定します。A測定の平均だけで、作業者が音源へ近づく時間帯を見落とさないための測定です。

  • A測定:単位作業場所を区切り、作業場の面としての状態を見る
  • B測定:音源に近接する作業位置で、大きな騒音となる時間を見る
  • 個人ばく露測定:手持動力工具など、騒音源や作業者が移動して定点測定が難しい場合に検討する

A測定平均値は算術平均で求め、80dB未満の測定値を算定へ含めません。B測定を行わない場合は、評価表の「B測定85dB未満」の欄を使います。平均の計算条件を独自に変えると、管理区分を正しく判定できません。

測定の実施者:改訂ガイドラインは実施者を特定の資格者に限っていません。ただし、結果は対策の基礎になります。作業環境測定士や衛生管理者などの実務担当者に行わせるか、作業環境測定機関への委託が望ましいとしています。

A測定平均値とB測定値を85dB・90dBで組み合わせる

管理区分は、A測定平均値だけでは決まりません。B測定を行った場合は、その値も組み合わせます。どちらかが90dB以上なら第III管理区分となり、AとBがともに85dB未満なら第I管理区分です。

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A測定平均値\B測定85dB未満85dB以上90dB未満90dB以上
85dB未満第I管理区分第II管理区分第III管理区分
85dB以上90dB未満第II管理区分第II管理区分第III管理区分
90dB以上第III管理区分第III管理区分第III管理区分

例えば、A測定平均値が83dBでも、B測定値が87dBなら第II管理区分です。作業場の多くが85dB未満でも、音源近くの作業位置を別に扱うためです。逆にA測定だけの場合は、B測定85dB未満の列で評価します。

管理区分の表は、局所的に大きいB測定値を平均で薄めない作りです。音源近くの作業が短時間でも、測定値を別に残して対策へつなげます。測定場所を動かした場合は、その理由も記録してください。

この85dB・90dBは、改訂ガイドラインが作業環境を評価する境目です。近隣騒音の許容値ではありません。第Iは継続維持、第IIは改善して第Iを目指す、第IIIは改善して第Iまたは第IIを目指すという違いで読みます。

同じ測定でも、暑熱環境のWBGTは別の指標です。測定と報告体制を分けて整えたい場合は、工場のWBGT測定と報告体制も併せて確認すると、担当と記録を整理しやすくなります。

第II・第IIIは、設備・伝ぱ経路の改善と保護具を組み合わせる

測定後は、管理区分に応じた措置へ進みます。第II管理区分では場所を標識で明示し、設備、工程、作業方法を点検します。必要な改善を行って第I管理区分となるよう努め、必要に応じて聴覚保護具を使わせます。

第III管理区分では標識による明示に加え、改善して第Iまたは第IIを目指します。改善後は同じ方法で測り直し、効果を確認します。聴覚保護具を使わせ、その使用状況を管理者が確認し、使用について見やすい場所へ掲示します。

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対策の場所主な方法現場での確認例
騒音発生源低騒音化、給油、部品交換、防振、制振、運転方法の改善異音、摩耗、不釣合い、カバーの隙間、設備の運転条件
伝ぱ経路配置変更、遮蔽物、防音塀、吸音、音源の向き変更音源と作業位置の距離、開口部、壁や天井からの反射
作業者側防音監視室、作業時間の調整、遠隔操作、耳栓・耳覆い滞在時間、装着方法、警告音や会話の聞き取り

耳栓やイヤーマフは必要な対策ですが、設備の不釣合いやカバーの隙間を直す代わりにはなりません。音を出す設備、伝ぱ経路、作業者側の対策を組み合わせると役割を分けます。設備改善と保護具の使用は、管理区分に応じて並行して進めます。

給油や部品交換を行った場合は、作業前後の運転条件をそろえて測ります。防音カバーや遮蔽物を追加した場合は、作業位置と周囲の測定点を確認します。一つの変更と測定結果を対応させると、次の設備へ対策を展開しやすくなります。

動力プレスを使う工場では、騒音測定と機械の法定点検を別々に管理します。点検周期と記録の違いは、動力プレスの始業前点検と年次検査で確認できます。騒音対策でガードや安全装置の機能を損なわないよう、保全担当と安全担当が変更内容を共有してください。

設備改善と聴覚保護具の使用は並行して進め、第IIIでは使用させ、第IIでも必要に応じて使用させます。なお、手持動力工具を使用する業務では、作業環境測定で継続して第I管理区分となる場所を除き、聴覚保護具を使用させます。個人ばく露測定を用いる場合は、継続して85dB未満となる場合を除きます。

騒音測定後に音源対策、伝ぱ経路対策、作業者側対策を並行し、再測定と記録へ進む図
設備、伝ぱ経路、作業者側の対策を組み合わせ、効果確認へつなげます。

測定条件と改善内容を同じ記録で追う

法令対象の測定記録には、日時、方法、箇所、条件、結果、実施者名、改善措置の概要を残し、3年間保存します。測定値だけの一覧では、前回と機械の台数や稼働率が違ったときに比較できません。生産品、運転台数、材料、扉の開閉など、音に影響する条件も記録します。

改訂ガイドラインに沿う評価では、評価日時、評価箇所、評価結果も加えます。設備対策をした場合は、対策前と同じ測定方法を使うと差を追えます。第III管理区分では、改善後の再測定と評価までが一つの管理対象です。

記録には次回測定の期限と担当者も添えると、6か月以内の予定を追いやすくなります。設備変更を計画する際は、変更後の測定日を工事日程へ入れます。測定、判定、改善、再測定を同じ記録で追える運用を勧めます。

  1. 対象を照合する:安衛則588条の8作業場か、ガイドライン別表2の52作業場かを分ける
  2. 定常作業の条件を決め、A測定と必要時のB測定を行う
  3. 85dB・90dBの表で管理区分を判定し、第II・第IIIの場所を明示する
  4. 音源、伝ぱ経路、作業者側の対策を決める
  5. 改善後の測定結果と変更内容を同じ記録へ追加する

清掃や詰まり除去などの非定常作業は、通常運転時と作業者の位置が変わります。機械を止めて行う安全手順は、コンベヤ清掃・点検時の停止と再起動確認の考え方も参考になります。騒音測定の結果だけで、停止や作動防止の手順を省かないでください。

定期測定の省略:ガイドライン別表2の作業場では、第I管理区分または85dB未満の状態が継続すると判断できる場合に省略できる規定があります。単発の1回が低かっただけでは足りず、毎日の運転と作業状況から継続可能性が非常に高い場合に限られます。

よくある質問

騒音計で一度85dB未満なら、定期測定をやめられますか

安衛則588条の法令対象は、6か月以内ごとの測定が必要です。ガイドライン別表2の省略規定も、1回の結果だけでは使えません。機械の運転と作業状況を通じ、継続的に第I管理区分または85dB未満となる可能性が非常に高いかを確認します。

A測定平均値が85dB未満なら、第I管理区分ですか

B測定を行った場合は、その値も使います。A測定平均値が85dB未満でも、B測定が85dB以上90dB未満なら第II、90dB以上なら第IIIです。音源に近づく作業があるかを先に確認してください。

耳栓を配れば設備対策は不要ですか

不要にはなりません。第II・第III管理区分では、設備、工程、作業方法を点検し、作業環境を改善する措置を進めます。聴覚保護具は、設備や伝ぱ経路の対策と組み合わせる作業者側の対策です。

まとめ

  • 法令上の定期測定対象8作業場と、ガイドラインが対象にする52作業場を分ける
  • 屋内はA測定で作業場全体を見て、音源に近接する作業があればB測定を加える
  • A測定平均値とB測定値を85dB・90dBで組み合わせ、第I〜第III管理区分を判定する
  • 第II・第IIIは設備、伝ぱ経路、作業者側の対策を組み合わせる
  • 測定条件、管理区分、改善内容、再測定を同じ記録で追う
  • #騒音
  • #作業環境測定
  • #設備保全
編

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株式会社恒電社 編集部

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