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絶縁抵抗測定は何MΩなら合格?省令が定める3区分の判定値と、測れないときの1mA判定

絶縁抵抗測定の合格ラインは、省令が電圧区分ごとに0.1・0.2・0.4MΩと定めています。測定が困難なときの1mA判定と停電作業の措置まで整理します。

絶縁抵抗と書かれたサムネイル。左に長さの異なる3本の横棒、右に「絶縁抵抗」「省令が定める三つの判定値」の文字
44設備保全

絶縁抵抗測定は、電線相互間や電路と大地との間の電気の流れにくさを、抵抗値として調べる検査です。工場内の電路について、法令上の絶縁性能の基準と、停電作業に関係する安全措置を整理します。

合格の線引きは、はっきりしています。低圧の電路は、使用電圧の区分に応じて0.1・0.2・0.4メガオームのいずれか以上と、国の省令が数値で定めています。絶縁抵抗測定が困難な場合の代わりの判定も、経済産業省が示す解釈に書かれています。

判定値がどこに定められているか、測れないときに何で代えるか、高圧の電路ではどの条文が基準になるか、測る前の安全の段取りは何か。この順に見ます。

電路を大地から絶縁することは、省令の要求事項

そもそも絶縁は、法令上の要求事項です。電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)の第5条は、電路は大地から絶縁しなければならないと定めています。

総務省消防庁「令和6年(1〜12月)における火災の状況(確定値)」(令和7年11月25日公表)によると、建物火災は20,972件でした。出火原因の内訳は次のとおりです。

建物火災の主な出火原因別の件数(令和6年)

建物火災20,972件の内訳(上位5原因)

出典:総務省消防庁「令和6年(1〜12月)における火災の状況(確定値)」令和7年11月25日

出火件数
建物火災の主な出火原因別の件数(令和6年)出火件数:こんろ 2,654 件、電気機器 2,051 件、たばこ 1,721 件、配線器具 1,461 件、電灯電話等の配線 1,133 件出火件数、こんろ:2,654 件出火件数、電気機器:2,051 件電気機器出火件数、たばこ:1,721 件出火件数、配線器具:1,461 件出火件数、電灯電話等の配線:1,133 件
データを表で見る

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建物火災の主な出火原因別の件数(令和6年・単位:件)
出火原因件数建物火災に占める割合
こんろ2,65412.7%
電気機器2,0519.8%
たばこ1,7218.2%
配線器具1,4617.0%
電灯電話等の配線1,1335.4%

単独で最も多いのはこんろです。ただし電気に由来する3つの区分(電気機器・配線器具・電灯電話等の配線)を足すと4,645件になり、建物火災の22.1%を占めます。この合算は同資料の数値から計算したもので、消防庁が示す分類ではありません。同じ資料で、建物用途別の工場・作業場の火災は1,866件(建物火災の8.9%)でした。

この統計には電気機器・配線器具・電灯電話等の配線を出火原因とする区分があります。ただし、この統計だけから絶縁劣化との因果関係は判断できません。読み取れるのは、電気に関係する区分が件数として一定の割合を占めるという事実までです。

2本の電線を表す水平線と接地記号を描いた図。電線どうしの間を指す矢印に「電線相互間」、下側の電線と接地記号の間を指す矢印に「電路と大地との間」の文字があり、下部の帯に「絶縁抵抗測定」と書かれている
図1 絶縁抵抗測定が見ている2つの経路

低圧の合格ラインは、省令が3つの区分で決めている

低圧の電路の判定値は、電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)の第58条に、表の形で定められています。使用電圧の区分ごとに、次の値以上であることが求められます。

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電路の使用電圧の区分絶縁抵抗値
300V以下で、対地電圧が150V以下の場合0.1MΩ
300V以下で、上記以外の場合0.2MΩ
300Vを超えるもの0.4MΩ

MΩ(メガオーム)は抵抗値の単位です。省令第58条は、この値の下限を区分ごとに定めています。対地電圧とは、同条の定義によれば、接地式の電路では電線と大地との間の電圧、非接地式の電路では電線間の電圧をいいます。

使用電圧が300V以下の回路は、まず接地式か非接地式かで対地電圧を確認します。そのうえで0.1MΩと0.2MΩのどちらに該当するかを判断します。使用電圧が300Vを超える低圧電路は0.4MΩです。

見落とされやすいのが、測る単位です。同条が定めるのは開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとの値であって、測定器を当てる位置の名称ではありません。複数の分岐回路をまとめた測定だけでは、それぞれの電路が基準を満たすことを確認できない場合があります。

なお、第58条の対象は低圧の電路です。参考までに、労働安全衛生規則第36条第4号の定義を挙げます。同規則における低圧は直流750V以下・交流600V以下、高圧は直流750Vまたは交流600Vを超え7,000V以下です。数値の根拠を確かめたい場合は、e-Govの電気設備に関する技術基準を定める省令で第58条の表を直接見るのが早い方法です。

自社の回路がどの区分に当たるかを決める順序

表を条文どおりにたどると、判断は3つの問いに分かれます。

  1. その回路が低圧電路であることを確認する。低圧の範囲内で使用電圧が300Vを超えるなら0.4MΩ
  2. 300V以下なら、その電路は接地式か非接地式か。ここで対地電圧の意味が変わる
  3. 対地電圧が150V以下か。以下なら0.1MΩ、それ以外は0.2MΩ

つまずくのは2つ目です。接地式か非接地式か、および対地電圧は、設備図面を確認したうえで、不明な場合は自社の保安管理体制の下で確認します。

絶縁抵抗測定が困難な場合は、漏えい電流1mA以下という選択肢がある

低圧の電路には、もう1つの適合の仕方があります。経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(令和7年11月20日改正)の第14条は、低圧の電路の絶縁性能について2つの選び方を示しています。

  1. 省令第58条によること:前の節の表の値以上であること
  2. 絶縁抵抗測定が困難な場合:使用電圧が加わった状態での漏えい電流が1mA以下であること

2つ目では、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流を判定します。順序を間違えないでください。1mA判定は、絶縁抵抗測定が困難な場合の選択肢として書かれています。ここでいう「測定が困難な場合」に個別の回路が該当するかは、停電の可否だけで決められません。自社の保安体制の下で確認する必要があります。

左右2列に分けた図。左列は「低圧の電路」の見出しの下に「省令第五十八条」と「解釈第十四条」の2つの枠、右列は「高圧・特別高圧」の見出しの下に「解釈第十五条」の枠が並んでいる
図2 電圧区分ごとに、どの条文が適合の基準になるか

図2は、どの条文が適合の基準になるかを整理したものです。通常の点検で実施すべき試験を示す図ではありません。

高圧の電路に、一律の絶縁抵抗の下限値は見当たらない

省令第58条の表は、低圧の電路だけを対象にしています。今回確認した省令と解釈の範囲では、運用中の高圧・特別高圧の電路に一律に適用される絶縁抵抗の下限値は見当たりません。

高圧側について解釈が定めているのは、絶縁耐力試験です。第15条が挙げるのは、最大使用電圧が7,000V以下の交流の電路であれば、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧です。これを電路と大地との間に連続して10分間加え、耐える性能を求めています。抵抗の値を読むのではなく、電圧をかけて壊れないことを確かめる試験です。

補足:今回確認した法令からは、運用中の高圧電路で測定した絶縁抵抗値の管理方法や判定方法までは特定できません。自社で採用している点検方法と記録の扱いは、保安規程および保安管理体制の下で確認してください。

点検報告書に並ぶ数値の読み方は、運営会社である恒電社のサイトにある点検報告書の読み方の解説にも整理があります。年次点検そのものの進め方は、キュービクル点検は誰が何を見るかの記事で扱っています。

測る前に決めておく段取りと、法令が求める安全の措置

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第339条が、感電の危険を防ぐための措置を定めています。対象は、電路を開路して、当該電路等の敷設・点検・修理・塗装等の電気工事の作業を行う場合です。開路した後に事業者が講じる措置として、次の内容が挙げられています。

  • 施錠か表示か監視人:開路に使った開閉器に、作業中は施錠するか、通電禁止の表示をするか、監視人を置く
  • 残留電荷の放電:ケーブルやコンデンサーを持つ電路で残留電荷の危険があるものは、安全な方法で確実に放電させる
  • 検電と短絡接地:開路した電路が高圧または特別高圧だったものは、検電器具で停電を確認する。そのうえで短絡接地器具を用いて確実に短絡接地する

復電の手順も同条に書かれています。作業に従事した人に感電の危険がないこと、短絡接地器具を取り外したことを確認してからでなければ、通電してはなりません。復電前には、これらの確認を省かないことが必要です。

安全措置に使用する器具等のうち、第352条の表に掲げられたものには、使用開始前の点検が必要です。同条が挙げるのは、検電器具、短絡接地器具及び所定の絶縁用保護具です。その日の使用を開始する前に所定の事項を点検し、異常があれば直ちに補修または取り換えることを求めています。前回使用時に異常がなくても、その日の使用開始前の点検を省略することはできません。

実施の枠組みは、保安規程が受け持ちます。電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号)第50条第3項が、保安規程に定める事項を挙げています。自家用電気工作物を設置する者は、保安のための巡視・点検・検査に関すること、保安についての記録に関することなどを定めます。絶縁抵抗測定の具体的な実施方法、周期、記録方法をこの条文だけから一律に示すことはできません。自社の保安規程で確認してください。

記録の形も、あらかじめ決めておくと後で効きます。回路ごとの値を1つの表にまとめ、測定日・回路名・分電盤の名称・使用電圧の区分・測定値・判定を1行にしておく。低圧電路について省令第58条の絶縁抵抗値で判定する場合は、前の節の3つの問いで区分が決まります。次回以降の点検で同じ表に追記すれば、測定値の推移を確認できます。

注意:本文の条文・数値は2026年9月時点で公表されている原典によります。改正の有無と自社への当てはめは、電気主任技術者または保安管理業務の委託先へ確認してください。

よくある質問

絶縁抵抗計は何ボルトのレンジで測ればよいですか

省令第58条と解釈第14条には、測定に用いる電圧の指定はありません。この2条が定めているのは、満たすべき絶縁抵抗の値と、測定が困難な場合の漏えい電流の値です。今回確認した原典だけでは、使用すべき測定電圧を特定できません。実際の測定条件は、自社で採用している手順を電気主任技術者または保安管理業務の委託先に確認してください。

基準値を下回ったら、すぐに設備を止めなければなりませんか

省令第58条が定めているのは、低圧の電路が満たすべき絶縁抵抗の下限です。同条だけから、継続使用の可否や対応期限を判断することはできません。基準値未満を確認した場合は、その場で通電を継続してよいと自己判断せず、自社の保安規程に基づく判断へつないでください。

基準は満たしているが、測るたびに値が下がっています

省令が定めているのは下限値であり、値の下がり方に関する判定基準は、今回確認した原典にはありません。測定値を時系列で記録すれば推移を確認できますが、その推移から補修や更新の要否を判断する基準は、この省令だけからは示せません。自社の保安規程および保安管理体制の下で判断してください。更新そのものの判断の軸は設備は修理か更新かの記事で、保全全体の整理は設備保全のテーマページでまとめています。

まとめ

  • 低圧の判定値は省令第58条の3区分。300V以下かつ対地電圧150V以下で0.1MΩ、300V以下のその他で0.2MΩ、低圧の範囲内で300Vを超えるものは0.4MΩ以上
  • 判定単位は、測定器を当てる位置の名称ではなく、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごと
  • 絶縁抵抗測定が困難な場合は、解釈第14条により漏えい電流1mA以下で判定できる。該当するかは停電の可否だけで決めない
  • 省令第58条の絶縁抵抗値は低圧電路が対象。今回確認した省令・解釈には、運用中の高圧・特別高圧電路に一律適用する絶縁抵抗の下限値は見当たらず、解釈第15条では絶縁耐力が規定されている
  • 電路を開路して当該電路等の敷設・点検・修理・塗装等の電気工事の作業を行う場合は、労働安全衛生規則第339条に基づき、施錠・表示・監視人のいずれかの措置を講じ、電路の条件に応じて残留電荷の放電や、高圧・特別高圧電路の検電・短絡接地を行う。第352条の対象器具等は使用開始前に点検する
  • 絶縁抵抗測定の周期や記録方法は、第50条第3項だけから一律に示せないため、自社の保安規程および保安管理体制の下で確認する
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  • #電気設備
  • #法定点検
  • #労働安全衛生規則

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株式会社恒電社 編集部

受変電設備の更新・保全に携わる立場から、実務上の誤解を招かないかを確認しています。生産設備の保全に関する記述は、公的資料と公開情報にもとづきます。

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